新築の芝生が育たない原因は土|確かめ方と1年目の手入れ
編集: しばしば芝編集部(編集方針)

新築や建売の庭で芝生が育たない、まだらに枯れる、雨のあと水たまりが残る。こうした悩みの多くは、芝そのものより芝の下の土に原因があります。造成や建築の工事で土が重機に踏み固められていたり、根が張れる表土が薄かったり、下に砕石やコンクリート片が残っていたりするためです。水やりや肥料を増やす前に、まずスコップで掘って土を確かめます。この記事では、症状から原因を絞る表、家庭でできる確かめ方、今の芝を活かして直すか張り直すかの判断、張ってから最初の1年の手入れを順に整理します。高麗芝などの日本芝を前提にしています。
この記事でわかること
- 新築・建売の庭の土で起きやすい5つの問題
- 症状から原因を絞る早見表と、掘って確かめる手順
- 今の芝を活かして直すか、はがして張り直すかの判断基準
- 張ってから活着・最初の夏・最初の冬・2年目の春までの手入れ
新築の芝生が育たないのは、たいてい「土」が原因
結論から言うと、新築の庭の芝生の不調は、芝の品質より土の状態で決まることが多いです。家を建てる工事では、重機や資材が庭になる場所を何度も通ります。米国ジョージア大学の普及資料も、新築の敷地の土は「コンクリートのような」固さに締め固められていることが多く、表土がはがされて下層の土が残りやすいと書いています。
根が伸びにくい土の上では、芝は張った直後こそ緑でも、夏の乾燥や長雨のたびに弱ります。千葉県の林地開発向けの緑化技術指針(表は日本造園建設業協会の資料から転載)は、芝生が根を張る層(有効土層)として、養分を含む上層20〜30cmと、その下に根が伸びられる層10cm以上を目安に示しています。家庭の庭では、張られた芝の下にここまでの厚さがないことも多いので、まず柔らかい土が何cmあるかを測ることが最初の分かれ目です。
造成地・建売の庭で起きやすい土の問題
新築の庭の土の問題は、大きく5つに分けられます。1つの庭に2つ3つ重なっていることも珍しくありません。
1. 重機で踏み固められた土(転圧)
転圧(てんあつ・土を上から押し固めること)された土は、すき間が少なく、水も空気も根も入りにくくなります。千葉県の指針は、土の硬さが一定を超えると根の侵入が困難になり、生育不良になると整理しています。表面だけ耕してあっても、その下が固いままのこともあります。
2. 表土が薄い、または下に砕石・ガラが残っている
造成では、もとの表土が削られたり、別の土で埋め戻されたりします。芝の下に黒っぽい土が数cmしかなく、その下が締まった白っぽい土や砕石、コンクリートの欠け(ガラ)という庭もあります。土が薄い場所は水を蓄えられないため、夏に周りより先に茶色くなりやすくなります。
3. 粘土質で水が抜けない
粘土の多い土は固まりやすく、雨水が下へ抜けません。KINCHO園芸の高麗芝の解説も、床土の水はけが悪いと過湿で根づきにくく、粘土質では根が浅くなって逆に乾きやすいと説明しています。雨のあとはぬかるみ、晴れが続くとひび割れる庭はこのタイプです。
4. 真砂土・山砂で入れ替えられている
真砂土(まさど)は、花崗岩が風化してできた砂っぽい土で、広島県の資料では県南部の人口密集地域に広く分布するとされ、造成や庭土にも使われます。ただし、風化の程度によって水の通しやすさも保水性も大きく変わることが研究で示されています。水はけがよい土と言われる一方で、締まって水を通しにくくなっている真砂土の庭もあります。「真砂土だから大丈夫」とは決めず、実際に水を入れて確かめます。
5. 建物・駐車場ぎわのアルカリ
新しいコンクリートは、周りの土に石灰分を溶かし出して土をアルカリ性に寄せることがあります(ワシントン州立大学の園芸資料)。米国フロリダ大学の普及員も、道路や基礎の近くで土のpH(酸性・アルカリ性の度合い)が大きく変わっている庭をよく見ると書いています。基礎・犬走り・駐車場の縁に沿って帯状に色が悪いなら、この可能性を考えます。
症状から原因を絞る早見表
まずは見えている症状から、疑う原因と確かめ方を絞ります。原因を1つに決めつけず、当てはまる行をすべて確かめるのが近道です。
症状 | 考えられる原因 | 確かめ方 |
|---|---|---|
雨のあと1日たっても水たまりが残る | 転圧・粘土質・下の固い層、低い場所に水が集まる | 水のしみこみテスト(24時間後に水が残るか) |
夏に一部だけ先に茶色くなる | 表土が薄い、下に砕石やガラ | その場所を20cm掘って土の層を見る |
基礎や駐車場の縁に沿って黄色い・伸びない | コンクリートの影響でアルカリ性、照り返しや日陰 | 土のpHを測る、日当たりを観察する |
全体に伸びが悪く、色が薄い | 表土が薄い、養分不足、床土をつくらずに張った | 掘って黒い土の厚さを測る、肥料の履歴を確かめる |
張って1か月以上たつのに、芝を引くと持ち上がる | 床土が固く、根が下の土に入っていない | 芝の端をめくり、白い根が土に入っているか見る |
通り道や駐車場への動線だけ薄い | 人や車による踏み固め | 同じ深さで、通路とそれ以外の土の硬さを比べる |
病気や害虫、水切れなど土以外の原因との見分け方は芝生が枯れる7つの原因と復活方法にまとめています。この記事では、その下にある土を確かめる方法に絞ります。
スコップ1本でできる確かめ方
家庭でできる確かめ方は、「掘って見る」と「水を入れて待つ」の2つです。道具は移植ごてかスコップ、定規、バケツがあれば足ります。調子のよい場所と悪い場所の両方で行い、比べるのがコツです。
- 掘る:芝を移植ごての幅で切り、深さ20cmほどまで掘ります。芝はあとで戻すので、土ごと横に置いておきます
- 層を見る:黒っぽい柔らかい土が何cmあるか、その下に白っぽく締まった土・砕石・コンクリート片・ビニールなどの異物がないかを定規で確かめます
- 指で押す:穴の側面を指で強く押します。千葉県の指針の簡易判定では、はっきり深い指跡が残る土は根の発達に支障がなく、指跡が残らない土は根の発達が妨げられ、移植ごてがやっと入る土は多くの根が入れない状態です
- 水のしみこみテスト:穴に深さ20cmほど水を入れ、1時間後と24時間後の水位を見ます。同じ指針では、24時間後に底に水が残っていなければ透水性は良好、残っていれば排水の対策を考える目安としています
- pHを測る:建物ぎわが気になるなら、市販の土壌酸度計や試験液で、建物ぎわと庭の中ほどの土を比べます
確かめ終わったら土を戻し、芝をのせて水をやれば元に戻ります。季節ごとに同じ場所を掘って比べると、手当ての効き目もわかります。
今の芝を活かして直す方法
掘ってみて、柔らかい土がおおよそ10cm以上あり、水も24時間以内に引くなら、張り直さずに今の芝を活かして直せることが多いです。この10cmは指針の数値ではなく、表面からの手当てで補えるかどうかを決めるためのこの記事の目安です。表面からの手当てを、芝が伸びる季節に数年かけて重ねるのが基本です。
見つかった問題 | 芝を活かした直し方 |
|---|---|
表面近くが固い | 生育期に穴を開けるエアレーションをくり返し、穴に目土をすり込む。やり方と時期はエアレーションのやり方へ |
小さなくぼみに水がたまる | 目土を1回5mm前後まで、芝の葉先が隠れない薄さで数回に分けて入れ、くぼみを埋める。必要な量は目土・目砂の必要量計算機で出せる |
庭全体が平らで水の逃げ場がない | 表面にゆるい勾配をつけ、低い場所に水の出口をつくる。詳しくは芝生の水はけを改善する方法へ |
建物ぎわがアルカリ寄り | 石灰(苦土石灰など)は入れない。改良材は酸度を測ってから選ぶ |
建物ぎわのアルカリには特に注意が要ります。フロリダ大学の普及員は、土壌診断で必要と出ない限り石灰を入れないよう勧め、すでにアルカリ性の土に石灰を足すと植物に問題が起きると書いています。「元気がないから石灰」はかえって逆効果になり得るので、苦土石灰は酸性に傾いていると測れたときだけ使います。
はがして張り直したほうがよいケース
次のどれかに当てはまるなら、表面からの手当てでは追いつきません。その範囲だけ芝をはがし、土をつくり直してから張り直します。
- 柔らかい土が5cm前後しかなく、すぐ下が砕石・ガラ・固い層(5〜10cmなら、まず狭い範囲で張り直して様子を見る)
- 穴に入れた水が24時間たっても残り、庭の広い範囲で同じ
- 移植ごてがやっと入るほど固い層が、芝のすぐ下にある
- 張って1か月以上たっても、芝がめくれるように持ち上がる
やり方は、芝をスコップで切り取って日陰に置き、20cmほどの深さまで土を掘り起こしてガラや砕石を取り除きます。固い土はほぐし、堆肥などの改良材を混ぜます。千葉県の指針では、改良材は耕す深さまでの土の量の2〜3割を混ぜる目安です。粘土に砂を少しだけ混ぜるとかえって締まることがあるので、砂を使うかどうかと量は、造園業者や芝生用の床土を扱う店に相談します。土を戻したらゆるい勾配をつけ、はがした芝を張り戻すか、新しい芝を張ります。張り方と床土づくりの手順は芝生の張り方にまとめています。
土を入れ替えても水が抜けない、庭全体がいつも湿っているといった場合は、地下に排水路を埋める暗渠(あんきょ)排水が必要なことがあります。横浜市の芝生化の資料も、目土で改善しなければ専門家と相談して暗渠排水を検討するよう書いています。勾配や排水先の設計が要るので、外構の施工者や造園の専門家に相談します。
張ってから最初の1年の手入れ
張ったばかりの芝は、根が浅く、土の弱点の影響をまともに受けます。最初の1年は「根を下へ伸ばす」ことを目的に、季節ごとに次の順で手入れします。高麗芝を一般地(東京・大阪などの平地)で春に張った場合の目安です。根付いたあとの1年を通した作業の全体像は芝生の手入れ完全ガイドにあります。
時期 | やること | やらないこと |
|---|---|---|
張った直後〜2週間 | 雨がない日は毎日、土まで届く量の水やり | 芝の上を歩く、肥料を足す |
2〜4週間(活着まで) | めくって白い根が見えたら、水やりの間隔を少しずつあける | 芝刈り(芝をつまんで持ち上がるうちは刈らない) |
活着後 | 最初の芝刈りは刈高3〜4cmと高めに。少しずつ下げる | 一度に深く刈り込む |
最初の夏 | 乾く場所を見回り、乾いたら土の深くまで届くよう水やり | 毎日少しずつの水やり、夏の張り替え |
初秋(9月ごろ) | その年最後の肥料。薄い場所に目土 | 10月以降の肥料 |
最初の冬 | 霜柱で浮いたら日中の暖かい時間に踏んで戻す | 休眠中の刈り込み・肥料・水やり |
2年目の春 | 新しい葉がそろったらエアレーションと目土。土の状態を再チェック | 芽吹き前の肥料(2〜3月) |
活着まで:水を切らさず、刈らない
校庭のティフトン芝を前提にした横浜市の資料は、張芝の直後は根がまったく伸びていないため、2週間は雨がない限り毎日水をやり、生育期なら2週間後にめくると白い根が見えると説明しています。活着(かっちゃく・根が土に入って定着すること)の目安は、暖かい時期で2〜4週間です。芝を軽く引いても動かなくなってから、最初の芝刈りをします。
最初の夏:浅い根に合わせた水やり
土が薄い場所や固い場所は、根が浅いまま夏を迎えます。毎日少しずつ水をやると根はさらに浅くなるので、乾いた場所を見つけたら、土の深くまでしみこむ量をまとめて与えます。夏に先に茶色くなった場所は、秋に掘って原因を確かめる候補として覚えておきます。
最初の冬:休ませて、浮きだけ直す
高麗芝は冬に茶色く休眠します。休眠中は刈り込みも肥料も要りません。霜柱で芝が持ち上がったら、日中の暖かい時間に踏んで土と密着させます。秋に張った芝は、根が浅いまま冬を越すことになるため、張ったあとの水やりを早めに終わらせず、冬までに根付かせることを優先します。
2年目の春:土を直す本番
芝が動き出し、新しい葉がそろう4〜5月が、エアレーションと目土で土を直す本番です。1年目に水たまりや茶色い場所が出た所から順に手を入れます。肥料は芽吹き前の2〜3月にはまかず、最初の芝刈りのあとから始めます。年間の肥料の回数と量は芝生の肥料の基本を参考にしてください。張った日・水たまりの出た場所・掘った結果をアプリ「しばしば芝」などに写真で残しておくと、2年目に直す場所を迷わずに選べます。
暖地・一般地・寒冷地で変わること
手入れの順番は同じですが、季節の進み方が地域で違います。ここでは年平均気温16℃以上を暖地、13℃以下を寒冷地とする種苗メーカーの目安で分けています。
地域 | 張る時期の考え方 | 最初の1年で気をつけること |
|---|---|---|
暖地(例:鹿児島) | 春が早く、秋も長めに伸びる | 最初の夏の水切れ。高温期の張り替えは避ける |
一般地(例:東京・大阪) | 晩春〜初夏が張りやすい | 表の目安どおり。秋に張るなら9月までにして、冬までに根付く日数を確保する |
寒冷地(例:仙台) | 春の動き出しが一般地より3〜4週間遅い | 秋張りは避け、春〜初夏に張る。最初の冬の寒風と霜柱 |
高麗芝は野芝ほど寒さに強くなく、雪印種苗の資料では北東北が北限とされています。寒冷地で秋に張ると、根が伸びないまま冬に入るおそれがあります。校庭のティフトン芝を前提にした横浜市の資料でも、8〜12月に張った芝は根が伸びない状態で冬越しになり、乾いた寒風で傷みやすいとしています。
よくある質問
新築で業者が張った芝が枯れてきたら、肥料を足せば直りますか?
土が原因なら、肥料だけでは直りにくいです。先に枯れた場所を20cmほど掘り、土の厚さや下の砕石・固い層を確かめます。原因が分かってから、エアレーションや目土、部分的な張り直しを選びます。
真砂土の庭は芝生に向いていますか?
一概には言えません。真砂土は風化の程度によって水はけも保水性も大きく変わります。水のしみこみテストで24時間以内に水が引き、指で押して跡が残る柔らかさなら芝は育ちます。固く締まっているなら、ほぐして堆肥などを混ぜます。
庭からコンクリート片や石が出てきたら、全部取り除くべきですか?
芝の根が張る深さ、目安として20cmほどまでに出るものは取り除きます。表面近くのガラの上は土が薄く、夏に先に枯れやすいためです。それより深いものは、水が抜けていれば無理に掘り出さなくてかまいません。
建物ぎわの芝だけ育たないときは石灰をまけばいいですか?
まず土のpHを測ってください。コンクリートの近くはアルカリ性に寄っていることがあり、そこに石灰を足すと逆効果になり得ます。日陰や照り返し、雨が当たりにくいことが原因の場合もあるので、日当たりもあわせて観察します。
張ったばかりの芝の上は、いつから歩けますか?
芝を軽く引いても持ち上がらなくなるまでは、なるべく歩かないでください。暖かい時期なら2〜4週間が目安です。根付いたあとも、最初の1年は同じ場所ばかり踏まないよう通り道を変えると、土が固まりにくくなります。
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