芝生の肥料の時期と量|おすすめの選び方と肥料焼けの防ぎ方
編集: しばしば芝編集部(編集方針)

芝生の肥料は、「いつ・何を・どれだけ」を窒素の量でそろえると迷いません。高麗芝なら、春に緑がそろってから始め、暑さが落ち着く秋口までに年3〜5回が目安です(寒冷地は少なめ)。1回の量は窒素で1㎡あたり1〜3gほどです。袋の「8-8-8」などの数字から製品の量を計算でき、8-8-8で窒素2gなら25gになります。まいたら水をかけ、猛暑のピークと休眠中は休みます。量を守っていても、まき始めや折り返しで粒が重なると肥料焼けが起きます。
この記事でわかること
- 寒冷地・一般地・暖地それぞれの、肥料をまく時期と回数
- 案内ごとにばらつく量を、窒素に直して比べる方法
- 袋のN-P-K表示から、1回にまく製品の量を計算する手順
- 化成・緩効性・有機・液肥・除草剤入り肥料の使い分け
- 肥料焼けが起きる条件と、足りない・多すぎのサイン
芝生の肥料の時期は「緑がそろってから秋口まで」
始めるのは芝の緑がそろってから、終えるのは伸びが鈍る前です。高麗芝の春の芽吹きは、前の年に蓄えた養分で進みます。園芸メーカーのKINCHO園芸の栽培暦は、芽吹き前の2〜3月に肥料をまいても冬の雑草を元気づけるだけだとしています。米国アーカンソー大学の家庭向けの暦も、最初の施肥は緑になってから約3週間後です。
終わりの目安は資料で少し違います。KINCHO園芸の栽培暦は、9月は基本的に施肥不要で、施すなら9月上旬までとしています。秋に効かせると緑は長持ちしますが、寒さへの抵抗力が落ちるためです。TM9(トヨタ自動車が開発した高麗芝)の開発元は、冬枯れが始まると肥料を吸わなくなるので、暖かい地域でも10月上旬までを目安にしています。
地域(例の地点) | 緑が動き出す目安 | 最初の施肥 | 初夏〜夏 | 最後の施肥 |
|---|---|---|---|---|
寒冷地(仙台) | 4月中旬 | 5月に入り、緑がそろってから | 6〜7月に1〜2回。8月は控える | 冬越しの準備を優先し、秋は見送るか早い時期に少量 |
一般地(東京・大阪) | 3月下旬 | 4月下旬、最初の芝刈りのあと | 5月に1〜2回。6〜7月は効きが切れたら。8月は少量か見送り | 9月上旬まで |
暖地(鹿児島) | 2月下旬 | 4月(生産者の暦)。緑がそろってから | 6月と8月(8月は猛暑の日を避ける) | 9月、伸びが鈍る前まで(遅くとも10月上旬) |
動き出しの目安は、旬(月を約10日ずつに分けた期間)ごとの平均気温が初めて10℃を超える時期です(気象庁の平年値)。芝生用品のバロネスは10〜12℃で生育を始めるとしており、その下限で見た早めの目安です。一般地の最初の施肥はKINCHO園芸の栽培暦、暖地は鹿児島の芝の生産者の暦(4・6・8月の年3回)によります。寒冷地は、動き出しが東京より約3週間遅いことから出した目安です。沖縄など冬も休眠しない地域は、暦より芝の伸びで決めます。
回数は肥料の効き方でも変わります。米クレムソン大学は、高麗芝の仲間(ゾイシア)は土質によって生育期に3〜5回の施肥がよいとしています。ゆっくり効く緩効性の肥料なら回数を減らせ、すぐ効く速効性の肥料は少量を回数多くまきます。秋の施肥を続けるかの判断は秋の芝生の肥料(お礼肥)、施肥をやめたあとの冬支度は11月の芝生の手入れで扱っています。
芝生の肥料の量は「窒素で何g」で決める
1回の量は、窒素で1㎡あたり1〜3gほどが目安です。袋の「1㎡あたり◯g」は製品の重さです。成分の濃さが違えば、同じ20gでも入る窒素は変わります。窒素の量にそろえると、製品をまたいで比べられます。案内ごとの量を窒素に直すと、次のとおりです。
案内している所 | 前提 | 1回の窒素(1㎡あたり) | 1年の窒素(1㎡あたり) |
|---|---|---|---|
芝生用の粒状肥料(10-9-9)の表示 | 10〜20gを1〜1.5か月おき | 1〜2g | - |
汎用の化成肥料(8-8-8)の芝生の表示 | 刈り込みごとに約24g | 約1.9g | - |
芝生用の細粒肥料(10-10-10、緩効性入り)の表示 | 暖地型芝で1年の合計約200g | - | 約20g |
鹿児島の芝の生産者 | 化成肥料20〜30gを年3回 | 窒素10%の肥料なら2〜3g | - |
米国アーカンソー大学(家庭の芝) | 春1回・夏2回 | 約2.4〜3.7g | 上限は約10g |
TM9の開発元(一般的な高麗芝を回復させたいとき) | 窒素8%の肥料を70〜100g(1年の標準量の3分の1〜半分) | 約5.6〜8g | 約16g |
TM9の開発元(TM9) | 手間を減らす管理 | - | 7g |
埼玉県の管理マニュアル(園庭・校庭) | 8-8-8〜10-10-10を40g、4〜11月に月1回 | 約3.2〜4g | 約26〜32g |
米国の大学の値はポンド表示を換算し、1年の合計は表示や案内から計算しました。園庭・校庭は、子どもが走って擦り切れる芝を早く回復させるための量で、家庭の庭より多めです。TM9の開発元の1回量も、薄くなった芝を回復させたいときの例です。家庭の高麗芝なら、1回は窒素2g前後から始め、葉の色と刈りカスの量を見て次を決めます。1年の合計は、米国の大学が上限とする約10gから、国内の案内から計算した16〜20gほどの幅にあります。TM9は一般的な高麗芝の半分で足ります。
袋の「8-8-8」の読み方
袋の3つの数字は、左から窒素(N)・リン酸(P)・カリ(K)の割合(%)です。肥料の法律では、この表示は「含まれていると保証する最小量の百分比」と決められています。8-8-8なら、100gの中に窒素が8g以上入っています。窒素は葉の色と伸びに、リン酸は根の伸びに、カリは水分の調節に関わります。KINCHO園芸の栽培暦は、根がよく伸びる5月はリン酸を含む肥料(3つの数字がそろった水平型など)を勧めています。乾きやすい夏は、カリを切らさないよう注意しています。
製品の量を計算する手順
- 1回に入れる窒素を決める:例として1㎡あたり3g
- 窒素の割合で割る:8-8-8なら 3÷0.08=37.5g。これが1㎡あたりの製品の量です
- 芝生の面積を掛ける:10㎡なら 37.5×10=375g
- 量り方を決める:TM9の開発元によると化成肥料は1mLあたり0.9〜1.1gなので、375gは計量カップで約375mLです
- 半分ずつ縦と横にまく:量を2つに分け、縦に歩いてまいたら、残りを横に重ねます
袋の表示 | 窒素2g/㎡にする量 | 窒素3g/㎡にする量 |
|---|---|---|
8-8-8 | 25g | 約38g |
10-10-10 | 20g | 30g |
14-14-14 | 約14g | 約21g |

庭全体の量は粒剤・肥料の散布量計算機でも出せます。まくのは芝刈りのあとです。市販の芝生用肥料の表示には、施肥後2〜3日は刈らない、まいたらたっぷり水を与える、という注意があります。張る前の土に混ぜる元肥は、追肥の5倍以上の量です。汎用の8-8-8の表示では、元肥が1㎡あたり約120〜150g、追肥が約24gです。元肥の数字を追肥に使わないでください。
化成・緩効性・有機・液肥の使い分け(おすすめの選び方)
迷ったら、「芝生用」と書かれ、緩効性の成分が入った粒状の肥料が扱いやすい選択です。おすすめは値段ではなく、まく回数とまき方に合うかで決まります。種類ごとの効き方と向く場面を整理しました。
種類 | 効き方 | 向く場面 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
速効性の化成肥料(8-8-8など) | すぐ効き、切れも早い | 色を早く戻したい。広い面積を安く | まきムラがそのまま焼けになる。少量を回数多く |
緩効性入りの芝生用肥料 | 少しずつ溶けて長く効く | まく回数を減らしたい。初めての施肥 | 効きが残っているうちに重ねない |
有機質肥料 | 土の微生物が分解してから効く。暑い時期ほど分解が進む | 土に有機物が少ない庭 | 気温で効き方が変わる |
液体肥料 | 薄めてまく。1回の量が少なく、週1回など回数が多い設計 | 張りたて(根付いてから)や色の補い | 希釈倍率と1㎡あたりの液量を守る |
除草剤入りの肥料 | 肥料であり、農薬でもある | 雑草の予防を兼ねたいとき | ラベルの使用時期・回数・芝の種類が優先。植え付け後1年以内は使えない製品もある |
土を改良する資材は、肥料とは役割が別です。微生物資材と米ぬかを混ぜてまく方法は、サッチ(枯れた茎や根が分解されずにたまった層)の分解をねらうものです。配合はカルスNC-Rブレンド計算機で計算できます。配合に硫安(窒素21%の肥料)を加える場合は、その窒素も1回の量に数えます。計算機の2〜4月の配合は硫安70g/㎡で、窒素では約15g/㎡になり、この記事の1回の目安(1〜3g)を大きく超えます。ブレンドをまく時期には、別の肥料を重ねないでください。製品ごとの成分と表示量は薬剤・肥料データベースで比べられます。TM9に芝生用肥料を使うときは、表示の量の半分にします。
肥料焼けが起きる条件と防ぎ方
肥料焼けは、量が多すぎるときのほか、全体の量が適量でも「粒が集まった所」「水が足りないとき」「暑さで弱ったとき」に起きます。土の中の肥料分が濃くなると、根が水を吸いにくくなります。米国ワシントン州立大学によると、芝生では散布機の通り道が重なった所が筋状に枯れます。折り返しや、まき始め・まき終わりで肥料がこぼれた所は、まだらに枯れます。
起きやすい条件 | 防ぎ方 |
|---|---|
粒が重なる、固まって落ちる(折り返し・まき始め) | 半量ずつ縦横にまく。散布機の開け閉めは芝の外で。こぼした塊は拾う |
まいたあとの水が足りない | たっぷり散水する。TM9の開発元は、雨や水が足りないと地表近くが肥料過剰になり、乾燥と同じ傷みが出るとしている |
葉が濡れているときに粒をまく | 朝露や雨が乾いてからまく |
暑さや乾燥で芝が弱っている | 猛暑のピークは見送る。高温時は使わないと表示する製品もある |
速効性の肥料を一度に多く | 1回の量を減らし、回数で補う |
まいた筋に沿って茶色くなったら、肥料焼けを疑います。残った塊を取り除き、たっぷり水をかけて薄めます。追加の肥料はやめ、変色が広がらないかを見てください。全体が同じように黄色っぽい場合は、肥料切れや水切れ、休眠のこともあります。見分け方は芝生が黄色くなる原因と対処法で解説しています。
足りない・多すぎのサイン
次に肥料をまくかは、葉の色と刈りカスの量で決めます。KINCHO園芸の栽培暦は、施肥が必要かを芝の伸び、つまり刈りカスの多さで判断するとしています。
見えること | 考えられること | 次の一手 |
|---|---|---|
全体が薄い黄緑になり、伸びが遅く刈りカスが少ない | 肥料切れ。古い葉から色が抜けやすい | 生育期なら窒素2g前後を1回 |
伸びが速く、芝刈りの回数が増えた | 窒素が多い | 次の量を減らすか、間隔を延ばす |
葉が柔らかく、病気や虫が増えた | 肥料や水が多い(TM9の開発元) | 量を減らし、水やりも見直す |
筋状に濃い緑が出て、高さがそろわない | まきムラ | 数回の芝刈りでそろうのを待ち、次から縦横にまく |
秋になっても伸び続け、色が抜けない | 夏の終わりの窒素が多い | 次の年は8〜9月の量を減らす |
円形に色が抜けるラージパッチという病気が出る庭では、米国アーカンソー大学は窒素を最小限にするよう勧めています。まいた日・製品・量をアプリ「しばしば芝」のお手入れ記録に残しておくと、次の間隔を決めるときや、1年の窒素の合計を出すときに見返せます。
芝を張った直後・休眠期・真夏の扱い
根が付いていない時期と眠っている時期はまかず、暑さで弱っている時期は見送るか少量にします。状況ごとの扱いは次のとおりです。
状況 | 肥料の扱い | 理由 |
|---|---|---|
芝を張る前の土 | 元肥として土に混ぜる | 追肥の5倍以上の量を使う。手順は芝張りの記事で |
張った直後〜根付くまで | 待つ。粒状は約1か月後、液肥は2〜3週間後から(表示の例) | 根が付く前は吸えない。生産地でまいた肥料が残っていることもある |
冬の休眠中・芽吹き前 | まかない | 芽吹きは蓄えた養分で進む。まいても冬の雑草が育つだけ |
真夏の猛暑 | 見送るか少量。梅雨の晴れ間や暑さが和らいでから | 暑さと乾燥で弱った芝は焼けやすい |
秋の終わり | 一般地は9月上旬までで終える | 伸びが続くと冬への備えが遅れる |
TM9の開発元は、春に張った場合の施肥は根付きを確かめてから、新しい葉がそろう5月以降を目安にしています。張る時期と元肥の入れ方は芝張り完全ガイドで確認してください。
よくある質問
芝生の肥料はいつ、年に何回まけばいいですか?
高麗芝なら、春に緑がそろってから秋口までに年3〜5回が目安です。関東の平地では4月下旬に始め、9月上旬までに終えます。暖地は4月から、寒冷地は5月に入ってからで、秋は見送るぶん回数は少なめです。緩効性の肥料なら回数を減らせます。
芝生の肥料は1回にどれくらいまけばいいですか?
窒素で1㎡あたり1〜3gほどが目安で、初めは2g前後から始めます。製品の量は、窒素の量を窒素の割合で割って出します。芝生用肥料の表示に従う場合も、窒素に直すとこの範囲に入るものが多いです。
8-8-8の化成肥料は1㎡に何gまけばいいですか?
窒素2gなら25g、窒素3gなら約38gです。10㎡なら250〜375gになります。化成肥料は1mLあたり約1gなので、計量カップでも量れます。速効性なので、量を半分に分けて縦横にまき、すぐに水をかけてください。
肥料焼けしたらどうすればいいですか?
残った肥料の塊を取り除き、たっぷり水をかけて薄めます。追加の肥料はやめ、変色が広がらないかを見ます。筋状やまき始めの所だけ茶色いなら肥料焼け、全体が同じように黄色いなら肥料切れや水切れのことがあります。
芝生の肥料のおすすめはどれですか?
初めてなら「芝生用」と書かれ、緩効性の成分が入った粒状の肥料が扱いやすい選択です。色を早く戻したいときは速効性の肥料を少量、張りたての芝には根付いてから液肥を使います。TM9は表示の量の半分にします。
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