コガネムシの幼虫から芝生を守る|食害の見分け方と駆除の時期
編集: しばしば芝編集部(編集方針)

結論:めくれる芝は、幼虫を数えてから手を打つ
芝生の一部が枯れ、引っ張るとじゅうたんのようにめくれて、土の中に白いC字形の幼虫がいれば、コガネムシ類の幼虫が根を食べています。まず被害の境目を30cm四方めくって数え、5〜10匹前後いれば手当てを考えます。気をつけたいのは時期のずれです。被害が目立つのは秋と春ですが、薬が効きやすいのはふ化して間もない夏の若い幼虫です。秋に見つけた年は数と場所を記録して補修の時期を決め、翌年は8月に試し掘りをして早めに対処します。
この記事でわかること
- コガネムシ類の幼虫による食害と、病気・水切れ・ほかの虫やモグラとの見分け方
- 30cm四方の試し掘りで幼虫を数える手順と、手当てを考える数の目安
- 成虫が出る時期から越冬までの1年と、薬が効きやすい時期
- 芝とコガネムシ類幼虫に登録のある殺虫剤3製品の量と回数
- 食べられた芝を戻す手順と、秋に張るか春まで待つかの判断
食害のサインと、似た症状の見分け方
コガネムシ類の幼虫は土の中で根を食べるため、地上では黄ばみや枯れとしてしか見えません。色だけでは水切れや病気と区別できないので、芝を軽く引っ張る、土を少しめくる、の2つで確かめます。
見えること | 考えられる原因 | 確かめ方 |
|---|---|---|
引っ張ると面でめくれ、根がほとんど無い。土に白いC字形の幼虫 | コガネムシ類の幼虫 | 被害の境目を30cm四方めくって数える |
引っ張ると茎がちぎれ、空洞の茎におがくずのような糞が詰まっている | シバオサゾウムシの幼虫 | ちぎれた茎を割る。幼虫には脚が無い |
めくれない。葉先が欠け、地際に黒い粒の糞や糸でつづった巣 | シバツトガ・スジキリヨトウなど葉を食べる芋虫 | 夕方から夜に葉の上と地際を見る |
めくれない。葉が細く巻き、踏んだ跡が戻らない | 水切れ | 土を握って乾き具合を見る。水やりで戻るか |
春・秋の湿った時期に、大きな円形〜不整形のパッチ。境目の葉の付け根に赤茶色の斑点が出ることがある | 葉腐病(ラージパッチ) | 境目の葉を抜いて付け根を見る |
土が筋や山の形に盛り上がり、踏むと沈む | モグラのトンネル | 踏んで平らにし、数日後に持ち上がるか |
葉を食べる芋虫の見分け方と、その虫に登録のある薬は芝生の芋虫の正体と駆除にまとめています。
決め手は「めくれ方」と「C字形の幼虫」
根を食べられた芝は土をつかめず、手で引くとマットのようにはがれます。めくった裏や地表から数cmの土に、白く柔らかい体で頭が茶色く、胸に6本の脚がある幼虫が横向きに丸まっていれば、コガネムシ類です。
取り違えやすいのがシバオサゾウムシです。幼虫は脚が無く、若いうちは茎の中を食べ、育つと茎の外側やほふく茎、最後は根を食べます。米国の大学も、その被害はコガネムシ類の幼虫や水切れとよく取り違えられるとしています。
秋の茶色いパッチは、ラージパッチの季節とも重なる
幼虫が大きくなって根を多く食べる9〜10月は、高麗芝の葉腐病(ラージパッチ)が出やすい秋雨の時期と重なります。群馬県の防除指針は、ラージパッチを日本芝で特に重要な病害とし、雨期と秋雨期に発生の山があるとしています。秋の茶色い範囲を病気と決めて殺菌剤をまいても、原因が幼虫なら被害は止まりません。逆も同じです。境目で芝を引いてめくれるか、葉の付け根に斑点があるかを先に見ます。病気の見分け方と登録のある薬は芝生の病気と殺菌剤の選び方で確認できます。
鳥や動物に掘られた跡は、幼虫が少なくても出る
朝、芝が小さくはがされていたり、穴が点々とあいていたりするのは、鳥や動物が地中の虫を探した跡のことがあります。米国の大学の資料では、根が枯れ込むのは1平方フィート(約30cm四方)に10〜12匹以上からなのに対し、動物が掘りに来るのは3〜5匹でも起こるとされます。ミミズを狙って掘ることもあるため、跡を見つけたら境目をめくり、幼虫の数を確かめてから判断します。
モグラもミミズやコガネムシの幼虫を食べますが、芝は食べません。トンネルで根を切ったり浮かせたりするので、盛り上がった筋があればモグラ、筋が無く面でめくれれば幼虫と考えます。
確認方法:30cm四方をめくって幼虫を数える
手当てが要るかどうかは、幼虫の数で決めます。地上の傷み方は芝の元気さや天気で変わるため、数を見ずに薬をまくと、効いたかどうかも判断できません。
- 枯れた部分と元気な部分の境目を選びます。食べ進んでいる最中の場所に幼虫が集まりやすいためです
- 30cm四方を目安に、スコップで3辺に切り込みを入れます
- 残した1辺を蝶番にして芝をめくり、めくった芝の裏と、地表から7cmほどまでの土をほぐして幼虫を数えます
- 同じ大きさで少なくとも3か所調べ、平均を出します。幼虫は場所によって偏るためです
- 芝を元に戻して上から軽く押さえ、乾いていれば水をまきます

日本の家庭の芝生向けに、頭数で線を引いた公的な目安は見当たらないため、ここでは米国の大学の目安を使います。米国で芝の重要害虫として研究が進むマメコガネ(英名 Japanese beetle)は、もともと日本にいる種類です。ただし米国の目安も幼虫の種類や大きさで変わり、アラバマ州の大学は30cm四方で3〜5匹から手当てを勧めています。
30cm四方の幼虫数 | 1㎡に直すと | 判断 |
|---|---|---|
0〜4匹 | 約45匹まで | 芝が緑を保っていれば薬は使わず、水やりと刈高を整えて様子を見る。鳥や動物に掘られやすい庭では、3匹前後から掘り跡が出ることがある |
5〜10匹 | 約55〜110匹 | 手当てを考える範囲。暑さや乾燥で弱った芝は、少ない方の数でも傷みやすい |
10匹を超える | 約110匹〜 | 根が枯れ込みやすい。若い幼虫の時期なら薬剤を検討し、秋遅くや春なら補修の準備を優先する |
1か所の数で決めず、境目の平均と根の残り方を合わせて判断します。
幼虫が根を食べる時期と、薬が効く時期はずれる
コガネムシ類の多くは、1年で1世代をくり返します。被害が目に見えるのは幼虫が大きくなった秋と、冬を越した春ですが、そのころの幼虫は大きく、薬が効きにくくなっています。
時期の目安 | 土の中の様子 | 庭でやること |
|---|---|---|
4〜5月 | 冬を越した幼虫が浅い所へ戻って根を食べ、その後、土の中で蛹になる | 芽吹きが遅い場所を引っ張って確かめる |
6〜9月 | 成虫が出て、土の中に卵を産む。卵は10日ほどでかえる | 成虫を見た日と場所を記録する。水やりは土が乾いてから |
7〜8月 | かえったばかりの幼虫が、土の有機物や細い根を食べ始める | 8月に試し掘り。数が多ければ登録のある薬剤を使う時期 |
9〜10月 | 幼虫が育って食べる量が増え、被害がまとまって見え始める | 数を記録し、補修の時期を決める。薬は効きにくくなる |
11〜3月 | 地温が下がると深い所へ移って冬を越す | めくっても見つからないことがある。いないとは限らない |
成虫が出る時期は、種類と地域で違います。都県の資料にある例を並べます。東京都は植木畑、長野県は苗畑の資料です。同じ種類でも、年ごとの気温や餌の条件で前後します。
種類 | 成虫が見られる時期 | 調べた場所 |
|---|---|---|
ウスチャコガネ | 4月中旬〜5月中旬 | 群馬県 |
マメコガネ | 6月上旬〜7月下旬 | 群馬県 |
セマダラコガネ | 6月上旬〜8月上旬(多いのは6月中旬と7月上旬) | 東京都 |
ドウガネブイブイ | 6月中旬〜9月上旬 | 長野県南部 |
ヒメコガネ | 6月下旬〜9月上旬(多いのは7月下旬) | 東京都 |
東京都の植木畑での試験は、セマダラコガネは7月中旬、ヒメコガネは8月中旬が防除の時期と考えられるとしています。群馬県の防除指針も、成虫が出ている期間に登録のある薬剤をまくとしています。
成虫を多く見た夏は、8月に試し掘りする
庭木や花に成虫が集まった年は、近くの芝に卵が産まれていることがあります。ただし成虫は飛び回るため、見た場所と卵を産んだ場所が同じとは限りません。前年に被害が出た場所と、成虫を見た場所の周りを数か所めくります。米国の大学も、被害が見える前の8月から調べ始めるよう勧めています。
薬剤を使うなら:若い幼虫の時期に、登録のある製品を
数が目安を超え、若い幼虫がいる時期なら、芝とコガネムシ類幼虫の両方に登録のある殺虫剤が選択肢になります。
大きくなった幼虫には効きにくい
土の中の幼虫は、育つほど薬が効きにくくなります。ドウガネブイブイの幼虫で調べた試験では、同じ成分(クロチアニジン)でも、3齢幼虫の半数を死なせるのに要った土の中の濃度は、1齢幼虫の数十〜数百倍でした。千葉県農業試験場の研究者による1998年の解説も、老齢の幼虫には化学合成農薬の効果が一般に低いとしています。被害がまとまって見える秋や、冬を越した春の幼虫は、すでにこの効きにくい段階にあります。
次のような場面では、薬を見送る判断もあります。
- 30cm四方で数匹以下で、芝が緑を保っている
- 冬が近づき、幼虫が深い所へ移り始めている
- 春に見つかったのが大きな幼虫で、まもなく蛹になる時期に入る
- めくって幼虫を確かめておらず、原因がはっきりしない
芝とコガネムシ類幼虫に登録のある3製品
当サイトの薬剤データベースにある殺虫剤のうち、芝の「コガネムシ類幼虫」に登録があるのは次の3製品です(2026年10月14日に農林水産省の農薬登録情報提供システムで確認)。
製品 | 使い方 | 1㎡あたり | 10㎡なら | 使用回数 |
|---|---|---|---|---|
家庭園芸用スミチオン乳剤 | 1000倍に薄めてまく | 液3L | 薬剤30mL・液30L | 6回以内 |
フルスウィング顆粒水和剤 | 5000倍に薄めてまく場合 | 液0.5〜1L | 薬剤1〜2g・液5〜10L | 4回以内 |
ダイアジノン粒剤5 | 薄めずにまく粒剤 | 9g | 90g | 4回以内 |
3製品とも使用時期は「発生初期」で、使用回数は同じ成分を含むほかの農薬と合わせて数えます。家庭でよく見かけるGFオルトランの粒剤・水和剤は、芝のコガネムシ類幼虫に登録がありません。製品ごとの注意は芝生の薬剤データベースで確認できます。
まく前後に守ること
- ラベルで「芝」と「コガネムシ類幼虫」、倍率・量・回数を確かめる。名前の似た別の製品がある
- 乾ききった土は避ける。長野県の苗畑の資料も、雨が続いて土に水がしみたあとにまくよう勧めている
- 散布後の散水、立ち入り、子どもやペット、側溝や池への流れ込みは、製品の注意書きに従う
- まいた日・製品・量・場所を記録し、後日、同じ場所をめくって数を比べる
ラベルの読み方と、除草剤・殺菌剤を含めた選び方は芝生用農薬の選び方で解説しています。
予防:卵と若い幼虫が育ちにくい庭にする
成虫の飛来は止められませんが、卵と若い幼虫は乾きに弱く、根が深い芝ほど食害に耐えます。次の4つを夏の管理に組み込みます。
対策 | やること | 理由 |
|---|---|---|
水やり | 成虫が卵を産む夏も、土が乾いてから十分な量をまく。毎日少しずつ表面を湿らせ続けない | 米国の大学は、成虫は水の多い芝に卵を産みに集まり、卵と若い幼虫は乾くと育ちにくいとしている |
刈高 | 高麗芝は20〜30mmを目安に、下げすぎない | 刈高が高いほど根が大きくなり、食害に耐えやすい |
庭木 | 成虫がよく集まる木を、芝のすぐそばに植えない | 群馬県の防除指針も、成虫のえさになる樹木の植栽を控えるとしている |
堆肥 | 芝の近くに未熟な堆肥を置かない・まかない | 長野県の苗畑の資料では、未熟な堆肥は産卵を促し、かえった幼虫ははじめ有機物を食べる |
水を控えすぎて芝が水切れすると、それ自体が芝を弱らせます。葉が巻いて土も乾いているときは、迷わずまきます。成虫を見た日、試し掘りの数、被害の場所をアプリ「しばしば芝」のお手入れ記録に残しておくと、翌年の8月にめくる場所を決めやすくなります。
食害後の芝の回復:秋に張るか、春まで待つか
根が少しでも残っていれば、芝は戻る見込みがあります。まず幼虫の数を確かめて食害を止め、そのうえで芝の状態と時期で直し方を選びます。
- はがれた芝や、動物にめくられた芝は元の位置に戻し、手や板で押さえて土に密着させます。乾いていれば水をまきます
- 根が残る薄い場所は踏まずに休ませ、葉が見える程度に目土を薄く入れます
- 根まで無くなった場所は、周りと同じ品種の切り芝で部分的に張ります
- 春に張るときは、張る前に周りを小さくめくり、冬を越した幼虫が残っていないか確かめます
見つけた時期と状態 | 直し方 |
|---|---|
9月中で、周りの芝がまだよく伸びている | 小さな穴は部分的な芝張りを選べる。冬まで乾かさない |
10月以降、または霜が早い地域 | 張らずに、幼虫の数と場所の記録にとどめる。3月〜初夏の生育期に補修する |
春に、芽吹かない場所が見つかった | 引っ張って幼虫を確かめ、数を記録する。芝が伸びてから補修する |
補修片の高さのそろえ方や冬越しの注意は秋の芝生のハゲ補修にまとめています。
まとめ:数える、時期を合わせる、記録する
めくれた芝は数えてから手を打ち、薬は若い幼虫の夏に使います。秋や春に見つけた年は補修と記録を優先します。季節ごとの手入れ全体は芝生の手入れ完全ガイドで確認できます。
よくある質問
芝がじゅうたんのようにめくれます。コガネムシの幼虫でしょうか?
可能性は高いですが、めくった土に、白いC字形で脚が6本の幼虫がいるかで確かめます。茎がちぎれて中におがくずのような糞があればシバオサゾウムシ、めくれずに葉が巻くなら水切れを疑います。
幼虫は何匹いたら薬剤を使うべきですか?
30cm四方で5〜10匹前後(1㎡で約55〜110匹)が、米国の大学が示す手当ての目安です。暑さや乾燥で弱った芝は少ない数でも傷み、鳥や動物は3〜5匹でも掘りに来ることがあります。境目を数か所調べた平均で判断してください。
薬剤はいつまくと効きますか?
登録の使用時期は「発生初期」で、ふ化して間もない若い幼虫がいる夏が狙い目です。被害が目立つ秋や、冬を越した春の大きな幼虫には効きにくくなります。
冬に芝をめくっても幼虫が見つかりません。いなくなったのですか?
いなくなったとは限りません。幼虫は地温が下がると深い所へ移って冬を越し、春に地温が上がると根のある浅い所へ戻ります。秋に被害が出た場所は、4〜5月にもう一度めくって確かめてください。
オルトランはコガネムシの幼虫に効きますか?
GFオルトランの粒剤・水和剤は、芝のコガネムシ類幼虫に登録がありません。芝と「コガネムシ類幼虫」の両方がラベルにある製品を選びます。葉を食べるシバツトガなどとは登録が分かれるので、虫を確かめてから選んでください。
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