芝生の雑草対策|種類と時期で選ぶ抜き方・除草剤・予防
編集: しばしば芝編集部(編集方針)

芝生の雑草対策は、雑草の種類と、いま出ている季節を見分けることから始まります。秋に芽を出す冬雑草と春に芽を出す夏雑草は、種を残して1年で枯れる一年生です。根や地下の茎で何年も残る多年生とは、効く手段が違います。一年生は、種をつける前の手取りや芝刈り、芽が出る前にまく土壌処理剤で減らします。多年生は地下の部分まで取るか、その雑草に登録のある除草剤を使います。除草剤は、芝の種類と対象の雑草に登録のある製品を選び、ラベルの使用時期・量・回数に従います。
この記事でわかること
- 季節ごとに芝生に出る主な雑草と、その見分け方
- 雑草のタイプと時期で、手取り・芝刈り・除草剤を選ぶ判断表
- 芝生用除草剤のラベルの読み方(適用芝種・適用雑草・使用時期・使用量)
- 根の形で道具とやり方を変える、手取りのコツ
- 雑草を増やさない芝の密度・刈高・施肥のタイミング
芝生の雑草の種類は「いつ出るか」と「どう増えるか」で見分ける
名前が分からなくても、出る季節と増え方が分かれば手段は決まります。芝生の雑草は、冬雑草・夏雑草・多年生の3つに分けると整理できます。冬雑草は秋に芽を出し、冬を越して春に種をつけます。夏雑草は春〜夏に芽を出し、秋に種をつけます。多年生は、地下の茎や根で何年も残ります。葉の形では、細長い葉のイネ科、葉の広い広葉、カヤツリグサ科に分かれます。除草剤も、この区分ごとに効く・効かないが分かれます。
主な雑草 | 区分 | 生育する時期 | 増え方・目印 |
|---|---|---|---|
スズメノカタビラ | イネ科・冬雑草 | 10〜7月 | 種。秋に芽を出し、冬も緑のまま育つ |
ホトケノザ、オオイヌノフグリ | 広葉・冬雑草 | 12〜6月、10〜7月 | 種。春早くに赤い花や青紫の花 |
ハコベ | 広葉・一年生 | ほぼ1年中 | 種。茎が地面に広がる |
メヒシバ | イネ科・夏雑草 | 5〜10月 | 種。茎が地面をはい、節から根を出す |
オヒシバ | イネ科・夏雑草 | 4〜10月 | 種。ひげ根が強く、踏まれても育つ |
カタバミ | 広葉・多年生 | ほぼ1年中 | 種と地をはう茎。ハート形の3枚の葉 |
シロツメクサ(クローバー) | 広葉・多年生 | 3〜11月 | 種と地をはう茎。3枚の葉と白い花 |
チドメグサ | 広葉・多年生 | ほぼ1年中 | 地面をはう茎の節から根を出す。丸く光沢のある葉 |
セイヨウタンポポ | 広葉・多年生 | 11〜6月 | 種と根。冬は地面に葉を広げる |
スギナ | 多年生(ツクシは同じ株の胞子茎) | 3〜9月 | 地下茎。春にツクシ、あとから緑の茎 |
ハマスゲ、ヒメクグ | カヤツリグサ科・多年生 | ハマスゲは5〜10月 | 地下の茎。ハマスゲは先にかたい塊茎をつくる |
チガヤ | イネ科・多年生 | 4〜11月 | 地下茎で広がり、一度入ると取りにくい |
生育する時期と増え方は、石原バイオサイエンスの雑草図鑑によります(ヒメクグは北海道大学の植物の解説)。カヤツリグサ科は、茎の断面が三角で、葉が3方向に出るのが目印です(米カリフォルニア大学)。KINCHO園芸の栽培暦によると、冬雑草は9月中旬ごろから出始め、高麗芝が芽吹く4月によく目立ちます。5月に芝刈りが増えて芝が密になると雑草は減りますが、メヒシバは6〜7月も盛んに出ます。雑草の出方から日当たりや水はけを読む方法は芝生の健康チェックで紹介しています。
雑草の種類と時期で、手段を選ぶ判断表
一年生は「種を落とさせない」、多年生は「地下の部分を残さない」が基本です。除草剤には、芽が出る前や出始めに土にまいて発芽を抑える土壌処理剤と、生えている雑草の葉や茎にかける茎葉処理剤があります。雑草のタイプごとに、効く手段は次のとおりです。
雑草のタイプ | 手取り | 芝刈り | 土壌処理剤(芽が出る前) | 茎葉処理剤(生えたあと) |
|---|---|---|---|---|
冬雑草(スズメノカタビラなど) | 芝が冬枯れして見つけやすい冬に、根が浅いうちに抜く | 芝が休眠中は刈らないので効かない | 芽が出る前。関東で9月下旬ごろ | 小さいうちに。「秋〜春期(芝発芽前)」などの区分を確認 |
夏雑草(メヒシバなど) | 穂が出る前に抜く | 刈るうちに消える春の雑草もある。種も減らせる | 春、芽が出る前。暖かい地域は3月中〜下旬から | 生育初期に。真夏は高温時の条件を確認 |
地をはう多年生の広葉(カタバミ・クローバー・チドメグサ) | 茎をたどり、根の出た節ごと取る | 株は残る | 「多年生広葉雑草」に登録のある剤 | その雑草名か「多年生広葉雑草」に登録のある剤 |
地下茎・塊茎の多年生(スギナ・ハマスゲ・ヒメクグ) | 掘り切れないので、地上部を繰り返し取る | 株は残る | スギナに登録のある剤もある | 適用雑草欄にその名前がある剤 |
芝に似たイネ科の多年生(チガヤ・ギョウギシバ) | 地下茎ごと掘り取る | 株は残る | - | 芝を張ったあとは日本芝用の除草剤の効果が期待できない(TM9の開発元) |
TM9(トヨタ自動車が開発した高麗芝)の開発元は、大きくなった雑草は手で抜くか茎葉処理剤を使うとしています。小さな雑草がたくさん出る場合は、土壌処理剤が便利です。土壌処理剤は、すでに大きく育った雑草には効きません。除草剤を使う時期は、芝の状態でも決まります。KINCHO園芸の栽培暦は、高麗芝が芽吹いている4月は使用を避け、5月下旬ごろからにするよう勧めています。芽吹き前の3月に土壌処理剤を使う場合も、芝の生育が十分でないので慎重に判断するとしています。TM9の開発元も、芝を張って1年目は除草剤の全面散布を勧めず、手取りを基本にしています。メヒシバの駆除は芝生のメヒシバ対策、スズメノカタビラは芝生のスズメノカタビラ対策で詳しく扱っています。
芝生用除草剤のラベルの読み方
ラベルの「適用表」で、芝・雑草・時期・量の4つが自分の庭に合うかを確かめます。農薬は、表示された作物に、決められた量・時期・回数で使います。食べる作物では法令で義務づけられており、芝生のような食べない作物でも、ラベルの使用方法と注意事項に従って使うよう法令で求められています。芝生用除草剤の適用表は、次のように書かれています。
欄 | 書かれ方の例 | 読み方 |
|---|---|---|
作物名 | 日本芝/日本芝(こうらいしば) | 自分の芝が入っているか。西洋芝の記載がなければ西洋芝には使わない |
適用雑草名 | 一年生雑草/多年生広葉雑草/スギナ | 庭の雑草がこの区分に入るか。スギナやカヤツリグサ科は名前で探す |
使用時期 | 雑草発生前〜雑草発生初期/芝生育期(雑草生育初期)/秋〜春期(芝発芽前) | 雑草の育ち具合と、芝の状態の両方の条件 |
使用量 | 20〜40g/㎡/400〜600mL/10a | 10aは1,000㎡。「/10a」の数字は1,000で割ると1㎡あたりになる |
使用回数 | 本剤2回以内/同じ成分を含む農薬の総使用回数3回以内 | 使える回数の上限。同じ成分を含む別の製品とも合計する |
使用方法 | 全面土壌散布/散布(茎葉兼土壌処理) | 土にまくのか、生えた雑草にもかけるのか |
たとえば「400〜600mL/10a」なら1㎡あたり0.4〜0.6mLで、20㎡の庭では8〜12mLです。水の量が「200〜300L/10a」なら、1㎡あたり0.2〜0.3Lになります。手元の製品の適用表は、農林水産省の農薬登録情報提供システムで農薬名を検索し、ラベルの登録番号と同じものを開くと確かめられます。
適用表の外の注意事項も読みます。高温や乾燥が続くときは使えない、芝を植えてから1年以内は使えない、ツツジ類の枝葉に付いたら払い落とす、といった条件が付く製品があります。夏の条件は夏の芝生の除草剤、製品ごとの適用表は薬剤・肥料データベースで比べられます。

芝を残して雑草だけを枯らす「選択性」の除草剤でも、芝が芽吹く時期や高温時に、芝の葉が一時的に黄色くなることがあります。TM9の開発元は、茎葉処理剤を雑草の生えた所だけにかければ、芝への影響を最小にできるとしています。住宅地では、薬剤が隣の家や通行人にかからないよう、風のない日に散布します。症状から薬剤の種類を選ぶ方法は芝生用農薬の選び方にまとめています。
手取りのコツ|根の形で道具とやり方を変える
手取りで大事なのは、再生する部分を残さないことです。TM9の開発元は、地上部だけをちぎると再生するので、除草用の器具を使って抜き取るよう勧めています。根の形ごとのやり方は次のとおりです。
根・茎の形 | 主な雑草 | 道具と抜き方 |
|---|---|---|
浅いひげ根 | スズメノカタビラ、ハコベ、メヒシバ | 土が湿っているときに株元をつまみ、真上に引く。メヒシバは、はった茎の節も取る |
強いひげ根 | オヒシバ | 除草フォークで周りの土をゆるめてから抜く |
地をはう茎 | シロツメクサ、チドメグサ、カタバミ | 茎をたどり、根の出た節ごと取る。ちぎれた節から再生する |
太い根 | セイヨウタンポポ | 先の細い除草フォークを根に沿って深く差し、てこで起こす |
地下茎・塊茎 | スギナ、ハマスゲ | 掘り切るのは難しい。地上部を取り続けて、地下の蓄えを減らす |
スギナの地下茎は、地下30cmより深い所に多く、1mを超えることも普通です(農研機構)。夏から秋は葉で作った養分を地下へ送る時期で、この時期に茎を切ると翌年の繁殖源を減らせます。ハマスゲは、葉が5〜6枚になるまでは新しい塊茎をつくっていません。米カリフォルニア大学は、その前に抜くことを夏は2〜3週ごとに続け、塊茎の蓄えを減らすよう勧めています。
冬雑草は、根が浅く張っているうちに抜くと楽です。放っておくと春には根が張って抜けにくくなります。穂のついた株は芝の上に置かず、袋にまとめます。抜いた跡の穴は周りの土を寄せて平らにし、目土は芝が緑で伸びている時期に薄く入れます(休眠中の冬は入れません)。
雑草を増やさない予防|芝の密度・刈高・施肥のタイミング
雑草が入りにくいのは、すき間のない密な芝です。TM9の開発元は、芝の密度が下がって地面が見えると雑草が増えるとしています。KINCHO園芸の栽培暦は、植えて2年目以降の雑草の量は、前のシーズンの管理の結果だとしています。

- 刈高を下げすぎない:低く刈るほど見ばえはよくなりますが、芝は弱り、雑草が出やすくなります
- 肥料は芝が伸びる時期に:芽吹き前の2〜3月の肥料は冬の雑草を育てるだけです。8月の窒素の与えすぎは秋の雑草を勢いづかせます
- 穴やはげを残さない:エアレーション(穴あけ)の穴は目土で埋めます。目土は雑草の種が混じらない芝用の資材を使います
- 種を落とさせない:雑草によっては数週間で種を飛ばすので、見つけたら早めに取ります
雑草は毎年同じ場所に出やすいので、場所と時期を残しておくと翌年の準備が楽になります。アプリ「しばしば芝」のお手入れ記録に写真と日付を残しておくと、次の年の同じ時期に見返せます。
芝生そのものを枯らしたいとき(張り替え・撤去)
芝ごと枯らすのは、芝生の雑草対策とは別の作業です。芝も雑草も枯らす非選択性の除草剤は、芝生の中の雑草退治には使いません。TM9の開発元は、張り替える前に元の芝を枯らすなら、土の中ですぐ分解される茎葉処理タイプを、芝の葉が緑の時期に使うとしています。冬枯れ中は効きません。土に長く残る土壌処理タイプは、あとから張る芝にも影響するので使えません。
枯らしたあとも、元の芝の地下の茎と、種を含む表土を数cm取り除きます。残った茎から元の芝が再生するためです。薬剤を使う場合は、適用場所と使用方法がラベルに合うかを確かめ、残したい芝や庭木にかからないようにします。張り替えの手順は芝張り完全ガイドで確認してください。
よくある質問
芝生の雑草対策は何から始めればいいですか?
まず、出ている雑草が一年生か多年生か、いつ出たかを確かめます。数が少なければ、種をつける前に手で抜くのが最も安全です。広がっている場合は、雑草のタイプと時期に合う除草剤を選び、芝が薄くなった原因も直します。
芝生の雑草の種類はどう見分けますか?
出る季節と増え方で分けます。秋に出て冬も緑なら冬雑草、春〜夏に出るなら夏雑草、地下の茎や地をはう茎で何年も残るなら多年生です。葉が細長いイネ科、葉の広い広葉、茎の断面が三角のカヤツリグサ科でも分けられます。
芝生の除草剤はいつまけばいいですか?
芽が出る前に効かせる土壌処理剤は、冬雑草なら関東で9月下旬ごろ、夏雑草なら春の芽が出る前です。生えた雑草にかける茎葉処理剤は、雑草が小さいうちに使います。高麗芝が芽吹く4月と真夏の高温時は避け、ラベルの使用時期に従ってください。
抜いても抜いても生えてくる雑草はどうすればいいですか?
スギナやハマスゲなど、地下の茎や塊茎で増える多年生の可能性があります。掘り切るのは難しいので、葉が増える前に地上部を取り続け、地下の蓄えを減らします。除草剤を使うなら、適用雑草欄にその雑草の名前があるものを選びます。
芝生用の除草剤なら、芝は傷みませんか?
芝に登録のある選択性の除草剤でも、芝が芽吹く時期や高温時に葉が一時的に黄色くなることがあります。芝を植えて1年以内は使えない製品もあります。雑草の生えた所だけにかけ、ラベルの使用時期・量・回数を守ってください。
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