芝生の刈りカスの処理|放置していい量・何ごみか・堆肥の作り方
編集: しばしば芝編集部(編集方針)

刈った芝の刈りカスは、下の芝の葉が見える程度に薄く散っているなら、そのまま置いておいてかまいません。細かい葉は早く分解し、肥料分の一部が土に戻ります。集めるのは、塊で残ったとき、濡れた芝や伸びすぎた芝を刈ったとき、病気が出た場所や穂・雑草の種が混じるときです。集めた刈りカスは、自治体の区分に従ってごみに出すか、堆肥にします。区分は市によって違い、可燃ごみのほかに資源として別に集める市もあるため、お住まいの自治体の案内で確かめてください。
この記事でわかること
- 刈りカスをそのまま置いてよい条件と、肥料が減る理由
- 刈りカスを集めた方がよい5つの場面
- 刈りカスは何ごみか(自治体ごとの違いの実例)
- 乾かして軽くする方法と、堆肥にする手順・除草剤の注意
- 季節ごとの刈りカスの扱い

刈りカスとサッチは別物
最初にここを分けておきます。混同すると「刈りカスを戻すとサッチ(株元にたまる枯れた茎や根の層)が増える」という誤解につながるためです。
刈りカス | サッチ | |
|---|---|---|
正体 | 刈り取った葉。8割以上が水分 | 分解されずに残った茎や根の層 |
できる場所 | 刈った直後、芝の表面 | 芝の株元と土の間に少しずつ蓄積 |
分解 | 細かければ早い | 硬い組織のため遅い |
問題になるとき | 厚く塊で残ったとき | 層が厚くなり水や空気が通りにくくなったとき |
米国の大学の資料によると、刈りカスは80〜85%が水分で、早く分解します。サッチの主な原因は分解しにくい茎や根で、刈りカスではないとされ、高麗芝と同じゾイシア(シバ属)の管理暦も同じ説明をしています。薄く戻すことと、サッチが厚くなることは、直接は別の話です。
ただし、これは「薄く散っていれば」という前提つきです。刈る間隔があいて一度に大量に刈ると、刈りカスは塊のまま芝の上に残ります。サッチがたまったときの取り除き方はエアレーションのやり方で扱っています。
刈りカスの行き先は3つ。表で決める
行き先は「そのまま置く・集めてごみに出す・堆肥にする」の3つです。迷ったら次の表に当てはめてください。
状況 | 行き先 | 理由 |
|---|---|---|
薄く散り、下の芝の葉が見える | そのまま置く | 早く分解し、養分の一部が土に戻る |
塊や筋になって残る | 熊手で散らすか、集める | 下の芝が光不足になり、株元が乾きにくい |
病気の症状が出ている | 集めてごみに出す | 刈りカスと一緒に病原菌を広げない |
穂の出た雑草が混じる | 集めてごみに出す | 種を庭に落とさない |
除草剤を使った直後・使ったか分からない | 芝の上に戻すか、ごみに出す | 野菜や花の堆肥・敷き材にしない |
量が多く、置き場所と時間がある | 堆肥にする | 庭のごみを減らせる |
そのまま置いてよい条件と、肥料が減る理由
置いておける前提は1回に刈る量が少ないことです。一度に刈るのは草丈の3分の1までという刈り方を守れていれば、刈りカスは自然と細かく、薄く散ります。刈高と頻度の決め方は芝刈りの頻度・高さ・時期で解説しています。
置いておくときのチェックは3点です。
- 刈りカスの下に芝の葉が見えているか(見えなければ厚すぎる)
- 塊で固まっていないか(固まっていれば熊手やブロワーで散らすか回収する)
- 刈った芝が濡れていないか(濡れた芝の刈りカスは塊になりやすい)
置いた刈りカスは肥料にもなります。米国の大学の資料では、刈りカスには窒素が約4%含まれ、芝に必要な肥料の最大4分の1ほどをまかなえるとされています。毎回集めると、そのぶんの養分を庭の外へ持ち出すことになります。
ただし、これらは西洋芝が多い米国の数字です。高麗芝の肥料を決まった割合で減らす根拠にはせず、葉の色と刈りカスの量を見て次の肥料を決めます。刈りカスが多すぎて置いておけないときは、肥料が多すぎる合図のこともあります。米国ジョージア大学の資料も、伸びが速すぎて芝刈りが追いつかないなら、肥料を3分の1〜半分に減らすよう勧めています。量の目安は芝生の肥料の時期と量にまとめています。
刈りカスを集めた方がよい5つの場面
次の5つの場面では、量が少なくても集めます。夏は伸びが速く1回の量が増えるので、この判断が増える季節です。
場面 | 集める理由 | 次からできること |
|---|---|---|
伸びすぎた芝を刈った | 長く厚い刈りカスが下の芝を覆う | 刈高を上げ、何回かに分けて下げる |
雨や朝露で濡れた芝を刈った | 刈りカスが塊になり、株元に落ちない | 葉が乾いてから刈る |
病気の症状が出ている | 刈りカスと一緒に病原菌が広がる | 病気の場所は最後に刈り、刈りカスを機械から落とす |
穂の出た雑草が混じる | 種が庭に落ちる | 穂が出る前に抜くか刈る |
TM9の芝を刈った | 開発元は、サッチ(枯れた葉)の蓄積と、穂から落ちた種の発芽を防ぐため捨てるよう案内 | 穂を刈る春の回は特に残さない |
伸びすぎた芝の厚い刈りカスは、熊手で集めて堆肥や敷き材に回すよう米国の大学の資料も勧めています。濡れた芝を避けるのは、乾いていれば刈りカスが塊にならず土の表面まで落ちるからです。
病気については、高麗芝で問題になりやすいラージパッチ(円形に茶色くなる病気)の原因菌が、刈りカスとともに周りへ広がると米国パデュー大学が説明しています。米国フロリダ大学は、病気の場所は最後に刈り、次の場所へ移る前に芝刈り機から刈りカスを落とすよう勧めています。病名の見分け方は芝生の病気と殺菌剤の選び方で確認してください。
集めた刈りカスを庭の隅に積んだままにするのも避けます。湿った刈りカスの山は、腐った植物を好むヤスデなどのすみかになりやすいためです。
刈りカスは何ごみ?自治体ごとの違い
刈りカスの出し方は自治体によって違います。可燃ごみとして出す自治体がある一方、草や葉を資源として別に集め、堆肥や燃料に回す市もあります。公式の案内で比べると、違いは次のとおりです(2026年10月に確認)。
自治体 | 草・葉の出し方 | 気をつける点 |
|---|---|---|
千葉市 | 資源として月2回収集。透明袋(45L以内)に入れ、朝10時までに出す | はがした芝の根は可燃ごみ。土は出せない |
札幌市 | 「枝・葉・草」として5月〜12月中旬ごろに4週に1回、無料で収集。透明か半透明の袋 | 収集期間外は有料の指定袋で燃やせるごみ |
名古屋市 | ふだんは可燃ごみ。申込制の草木類収集(2026年度は6月・10月・11月の3回)で資源にできる | 土を落としてから資源用の指定袋に入れる |
東京都中央区 | 燃やすごみ。中身の見える袋で収集日に出す | 1日に10kgを超えると有料の大量ごみ |
札幌市のように、地区のリサイクルセンターへ自分で持ち込める自治体もあります。分からないときは、自治体のごみ分別のページやアプリで「草」「刈草」「落ち葉」を調べると、区分・袋・量の上限まで確かめられます。
庭で燃やすのは避けてください。屋外でごみを燃やす野焼きは、廃棄物処理法で一部の例外を除いて禁止されています。
乾かしてかさと重さを減らす
ごみに出す刈りカスは、広げて乾かしてから袋に入れます。水分が抜けると軽くなり、袋の数も減ります。抜いた草の例ですが、福島県郡山市の実験では、土を落とすと252gが約50gに、さらに十分に乾かすと11gになりました。
- 芝の外に広げる — 芝の上で干すと下の芝が光不足になります。コンクリートやシートの上に、厚く重ねず薄く広げます
- 天気のよい日に干す — 郡山市も、天気のよい日に広げて干すよう案内しています
- 乾いたら早めに袋へ — 山口県山陽小野田市は、乾かしてから出すよう求めたうえで、乾いた草が風で飛んだり、再び根付いたり、火災の原因になったりしないよう注意を呼びかけています
- 量が多い日は分けて出す — 一度に大量に出すと収集や通行の妨げになるため、数回に分けます
干す場所がないときは、口を閉じた袋のまま何日も置かないことが大切です。空気が足りないと刈りカスが腐って臭いが出ます。刈る日を収集日の前に合わせるだけでも、置いておく日数を減らせます。
刈りカスを堆肥にする手順と注意
刈りカスは、乾いた落ち葉などと混ぜれば堆肥の材料になります。刈りカスだけを厚く積むと空気が通らず、腐って臭いの原因になります。
理由は材料の性質の違いです。米国パデュー大学の資料では、炭素と窒素の比(C/N比)は刈りカスが15〜25:1で、堆肥づくりに理想とされる約30:1より窒素が多めです。炭素の多い乾いた落ち葉と組み合わせると、理想の比率に近づきます。
- 入れ物を用意する — 東京都世田谷区の案内では、丈夫な袋やふた付きのバケツ、量が多ければ衣装ケースも使えます
- 落ち葉などと交互に入れる — 新しい刈りカスは、全体の量の半分までにします(米国イリノイ大学)
- 米ぬかと水を足す — 世田谷区の袋やバケツで作る方法では、材料に米ぬかを約1割混ぜます。水分は、固く絞ったスポンジくらいが目安です
- 月1〜2回かき混ぜる — 空気を入れると分解が進み、臭いも出にくくなります
- 熱が出なくなるまで待つ — 世田谷区の袋やバケツの方法では、発酵の熱が出なくなれば完成で、冬は3〜4か月以上かかります

入れないものもあります。病気が出た芝の刈りカスや種のついた雑草は、慣れないうちは堆肥にしないよう米国の大学の資料は勧めています。世田谷区は、根は堆肥に向かないこと、混ぜている途中でコガネムシ類の幼虫を見つけたら取り除くことを案内しています。
除草剤を使ったあとの刈りカス
除草剤を使った芝の刈りカスは、まず製品ラベルの注意事項を確認します。米国では、一部の除草剤の成分が刈りカスや堆肥の中で長く効き目を保ち、トマトや豆類などに障害が出た例が報告されています。米国ノースカロライナ州立大学は、家庭の芝では刈りカスを芝に戻す扱いを安全な方法として勧めています。
ただし、成分や登録の内容は国によって違います。日本ではラベルの記載を優先し、使った製品や時期が分からない刈りカスは、野菜や花の堆肥・敷き材に使わず、芝の上に戻すかごみに出してください。
花壇の敷き材(マルチング)に使う場合は、薄く敷き、乾いてから重ねます。米国イリノイ大学の資料では、厚さ約2.5cmずつ敷き、よく乾いてから次の層を重ねるとしています。
季節ごとの刈りカスの扱い
刈りカスの量と注意点は季節で変わります。高麗芝の芝刈りは真夏に回数が多く、春と秋は少なめです。
時期 | 芝と刈りカスの様子 | 扱い |
|---|---|---|
3〜4月(刈り始め) | 冬に枯れた葉が混じる | 最初の芝刈りの刈りカスは集める |
5〜6月 | 伸びが速まり穂が出る。梅雨で濡れやすい | 雑草の穂やTM9の刈りカスは捨てる。濡れた日は刈らない |
7〜8月 | 生育の最盛期で、量が多い | 薄ければ置き、塊は集める。集めた分は乾かして早めに出す |
9〜11月 | 伸びが落ち、落ち葉が混じる。ラージパッチが出やすい | 落ち葉と合わせて堆肥の材料に。病気の場所は最後に刈って集める |
12〜2月 | 休眠して刈らない | 刈りカスは出ない。堆肥をかき混ぜて春に備える |
春の最初の芝刈りには、冬のあいだに枯れた葉を取り除く意味もあります。米国クレムソン大学のゾイシアの管理暦は、この回は集草袋付きの芝刈り機で集めるか、熊手でかき出すよう勧めています。秋は落ち葉が混じります。落ち葉を砕いて芝に戻せる量の見極めは芝生の落ち葉対策を参考にしてください。
集草するかしないかは道具でも変わる
集草バッグ付きの芝刈り機なら、刈りながら回収できます。バッグの無い機種や手動の道具では、刈ったあとに熊手で集める作業が別に要ります。刈りカスを細かく砕いて芝に落とすための部品を用意しているメーカーもあります。持ち出すことが多い庭か、置いておくことが多い庭かは、道具選びの判断材料になります。選び方は芝刈り機の選び方で比べています。
刈った日と量、集めたかどうかをアプリ「しばしば芝」のお手入れ記録に残しておくと、翌年の同じ時期に、刈る間隔や肥料の量を決めやすくなります。
よくある質問
刈りカスをそのまま放置するとサッチになりますか?
薄く散った刈りカスがそのままサッチになるわけではありません。米国の大学の資料では、サッチの主な原因は分解しにくい茎や根で、刈りカスは早く分解するとされています。ただし、塊のまま残すと株元が乾きにくくなるため、その場合は集めてください。TM9の庭は開発元の案内どおり捨てます。
夏は刈りカスを必ず取り除くべきですか?
必ずではありませんが、夏は1回の量が増えるため、集める判断が増えます。刈りカスの下に芝の葉が見えないほど厚いとき、濡れた芝を刈ったとき、病気が出ているときは集めます。集めた分は乾かして早めに出します。
刈りカスを堆肥にして家庭菜園に使えますか?
除草剤を使っていない芝の刈りカスなら材料にできます。除草剤を使った場合は、まず製品ラベルの注意事項を確認してください。使った製品や時期が分からないときは、野菜や花には使わず、芝に戻すかごみに出す方が安全です。刈りカスは全体の半分までにし、乾いた落ち葉などと混ぜましょう。
刈りカスはどのごみに出せばよいですか?
自治体によって区分が違います。可燃ごみとして出す市のほか、千葉市や札幌市のように草や葉を資源として別に集める市、名古屋市のように申込制の草木類収集がある市もあります。お住まいの自治体の案内で区分と袋を確かめてください。
はがした芝(根と土)も刈りカスと同じように捨てられますか?
刈りカスとは扱いが違うことがあります。例えば千葉市は、刈り草や葉は資源として集めますが、芝生の根は可燃ごみとし、石や土は出せないとしています。張り替えで出た芝は土をよく落とし、区分と量の上限をお住まいの自治体に確かめてください。
関連記事

春の芝生の手入れ|芽吹きの時期と作業を始める順番【地域別】
春の芝生の手入れは、芽吹きの合図に合わせて作業を足すのが基本です。芽吹き前は雑草取りと点検にとどめ、伸びたら芝刈り、そろったら肥料、新しい葉がそろったら目土とエアレーションへ。芽吹きの地域差は気象庁の平年値で示します。

秋の芝生の手入れ|冬前にやることを初心者向けに解説
芝生の秋の手入れは、夏の疲れを癒やし来春の芽吹きを整える大切な時期です。芝刈り・肥料・エアレーション・目土をいつ何から進めるか、高麗芝を育てる初心者向けに解説します。

9月の芝生の手入れ|残暑後のやることリスト
9月の芝生の手入れは、残暑の水切れを防ぎながら夏の傷みを確認し、秋の回復作業へつなげるのが基本です。高麗芝の水やり、芝刈り、肥料、踏圧跡の確認を時期別に解説します。
.jpg?w=640&fm=webp&q=75)
【初心者向け】夏の芝生の手入れ|水やり・芝刈り・肥料の目安とトラブル対処
高麗芝など日本芝の夏(6〜8月)の手入れを初心者向けに解説。水やり・芝刈り・肥料の基本と月別カレンダー、軸刈りや夏枯れ・キノコ・害虫など芝が茶色くなる原因の見分け方と対処をまとめました。地域や土質に合わせた調整のヒントも紹介します。

