芝生の蚊・アリ・ヤスデ対策|芝を食べない虫の見分け方と減らし方
編集: しばしば芝編集部(編集方針)

芝生の生き物への対応は、芝の葉や根を食べているかで分けると迷いません。シバツトガなどの芋虫やコガネムシ類の幼虫は芝を食べる害虫で、芝と対象害虫の両方に登録のある農薬が選択肢になります。一方、蚊・アリ・ヤスデ・ダンゴムシ・ムカデは、ふつう芝を食べません。こちらは芝生用の薬剤を流用せず、水たまりや落ち葉など、発生源と住みかを減らすのが基本です。ヤスデ・ダンゴムシ・ムカデは昆虫ではありませんが、ここでは一緒に扱います。
この記事でわかること
- 芝を食べる虫と食べない虫の見分け方(早見表)
- 蚊の発生源を週1回の見回りで断つ方法
- アリの巣・ヤスデ・ムカデへの対応と、やらない方がよいこと
- 虫ごとに違う殺虫剤の区分と、使う前の確認点
- 季節ごとの見回りの目安

まず分ける|芝を食べる虫と食べない虫の見分け方
虫を見つけたら、芝に食害の跡があるかを先に確認します。ここで、農薬を考える対象か、環境を変えて減らす対象かが決まります。
見つけたもの・跡 | 正体の候補 | 芝への影響 |
|---|---|---|
地際の黒い粒(糞)、食べられた葉先、細長い芋虫 | シバツトガ・スジキリヨトウなど蛾の幼虫 | 葉を食べる。芝はめくれにくい |
芝が絨毯のようにめくれ、土に白いC字形の幼虫 | コガネムシ類の幼虫 | 根を食べる |
日中に刺す、背中に白い線のある黒い蚊 | ヒトスジシマカ | 食べない。人を刺す |
芝の面の小さな土の山 | アリ | 食べない。土で芝が埋もれる |
褐色で細長く脚が多い。触ると臭う | ヤスデ | 食べない(腐った植物を食べる) |
触ると丸まる灰色の生き物 | ダンゴムシ | 主に枯れた植物。まれに芽生えをかじる |
平たく脚が多く、動きが速い | ムカデ | 食べない(虫を食べる)。人を咬む |
3分で確かめる手順
- 傷んだ場所と元気な場所の境目で芝を軽く引っ張る。簡単にめくれるなら根を食べる幼虫を疑う
- めくれないなら、地際をかき分けて糞や食べられた葉先、芋虫を探す
- どちらも無く芝が健全なら、芝を食べない虫として発生源を探す
食害のサインがあるときは、コガネムシの幼虫から芝生を守ると芝生の芋虫の正体と駆除を確認してください。芝が健全なのに虫だけが気になる場合が、この記事の対象です。
蚊|芝生ではなく水たまりを減らす
蚊対策の中心は水です。蚊の幼虫(ボウフラ)は水の中で育つため、庭に薬剤をまいても、水が残っていれば次の世代が出てきます。芝生にまく発想から、水を無くす発想に切り替えます。
日中に庭で刺してくる蚊を知る
庭仕事中に刺してくる、背中に白い線が1本ある3〜5mmほどの蚊はヒトスジシマカです。国立感染症研究所の手引きから、対策に関わる性質を抜き出します。
性質 | 内容 | 対策への意味 |
|---|---|---|
活動時期 | 成虫は主に5月中旬〜10月下旬(南西諸島などは長い)。卵で冬を越す | 春の片付けは5月中旬までに |
刺す時間と場所 | 朝方から夕方まで。庭や公園の茂みに潜む | 日中の芝刈りや草取りで刺されやすい |
育つ早さ | 真夏は産卵から数日〜1週間でかえり、その後10日ほどで成虫になる | 成虫になる前に流すため、週1回は水を捨てる |
卵 | 数か月乾いても、水に浸かるとかえる | 水を捨てた容器も、裏返すかしまう |
動く範囲 | 50〜100m程度 | よく刺されるなら、近くの発生源を探す |
週1回の見回りで、水がたまる場所をなくす
幼虫は小さな容器でも育ちます。週に1回は家のまわりを回り、次の場所を確かめます。
場所 | やること |
|---|---|
植木鉢の受け皿 | 使わない皿は裏返す。使う皿は週1回ほど洗って水を替える |
バケツ・じょうろ・子ども用プール | 使い終わったら水を捨てて裏返す |
雨よけのシート | たるみやくぼみに水がたまらないように張る |
古タイヤ・置いたままの容器 | 処分するか、雨の当たらない場所へ移す |
雨どい・排水溝 | 詰まった落ち葉やごみを取り除く |
卵は乾燥に強く、水を捨てた容器でも雨でまた水がたまればかえります。裏返すか屋根の下にしまうところまでが1回の作業です。近所から成虫が飛んでくることはあるため、目的は庭で増える分を減らすことです。
芝生のくぼみに雨のあと水が残るなら、水はけの問題です。芝の生育にも影響するため、芝生の水はけを改善する方法を参考に地面の側から手を入れます。
成虫の隠れ場所を減らし、刺されない服装で作業する
成虫は風通しの悪いやぶや草むらに潜みます。芝の刈り込みや周囲の下草刈りで風通しと日当たりをよくすると、庭にとどまる場所が減ります。
夏の芝刈りや草取りは長袖・長ズボンで行い、裸足にサンダルは避けます。薄い生地は服の上から刺されることもあり、首筋や手の甲のわずかな露出でも刺されるため、虫よけ剤(忌避剤)を併用します。
アリ|芝は食べないが、地面が荒れる
アリは芝の葉や根を食べず、甘い物やアブラムシが出す甘い汁、虫の死骸などを餌にしています。困るのは巣づくりで押し上げられた土です。
土の山ができると、そこだけ芝が埋もれ、芝刈りで刈りムラが出たりします。海外の大学の資料では、大きな山が周りの芝を覆うことや、巣のトンネルで土が乾いて芝が部分的に弱ることも挙げられています。
対応は次の順で考えます。
- 土の山を、ほうきで散らすかホースの水で崩して平らにする
- 同じ場所に繰り返しできるかを数週間見る。こまめに崩すだけで、巣が小さいままだったり別の場所へ移ったりすることもある
- 繰り返し、刺される・屋内まで列が続くといった実害があるときだけ、巣の一点に絞って対応する
芝生全体に薬剤をまく必要は、ほとんどありません。使うときは屋外での使用が想定された製品を選び、表示に従って巣や通り道に絞ります。

見慣れないアリの集団や巣は、刺激せずに相談する
ヒアリは働きアリが2.5〜6mmほどの外来のアリで、刺されると強い痛みが出て、体質によっては強いアレルギー反応を起こすおそれがあります。国内で見つかった場所は港や空港、貨物の中などが中心ですが、見慣れないアリの集団や巣が不安なときは、つつく・踏む・殺虫剤や熱湯をかけることはせず、環境省のヒアリ相談ダイヤルか市区町村に連絡します。死んだアリでも素手で触らないでください。
ヤスデ・ダンゴムシ|湿気とサッチが住みかになる
ヤスデやダンゴムシが目立つときは、湿った隠れ場所が増えているサインです。どちらも主に腐った落ち葉や枯れた植物を食べる生き物で、芝の葉を食い荒らすわけではありません。
庭でよく見るヤケヤスデは体長2cmほどの褐色で、咬みませんが、触ると臭いのある液を出します。自治体の資料では4〜7月ごろに発生し、梅雨どきの大発生では雨上がりに壁をはい上がって屋内に入ることもあります。放っておけば自然に散るため、屋内に入ったものだけ、紙で覆って捕まえるか掃除機で吸い取ります。
ダンゴムシも主に枯れた植物を食べますが、まれに芽生えや新しい根をかじります。芝の種をまいた直後や、オーバーシード(冬も緑を保つため日本芝の上に西洋芝の種をまくこと)の芽が出る時期だけは、数を見ておくと安心です。
住みかになりやすいのは次のような場所です。
- 厚くなったサッチ(分解されずに溜まった枯れた茎や根の層)
- 芝生に積んだままの刈りカスや落ち葉
- プランターや資材の下、常に日が当たらない場所
- 水はけが悪く、乾く時間が短い場所
刈った草を庭に置きっぱなしにしないだけでも状況が変わります。刈りカスの扱いは芝生の刈りカスの処理にまとめています。水やりを早朝に済ませると、夜までに表面が乾きます。ヤスデは落ち葉を土に返す分解者なので、自治体の資料でも薬剤はできるだけ避けたいとされています。
ムカデ|脚の付き方で見分け、素手で触らない
ムカデは昆虫などを食べる生き物で、芝は食べません。気をつけたいのは人を咬むことです。ヤスデと形が似ているので、まず見分けます。
項目 | ヤスデ | ムカデ |
|---|---|---|
脚の付き方 | 体の1節から2対 | 体の1節から1対 |
人への害 | 咬まない。触ると臭い液を出す | 咬む。激しい痛みと腫れ |
目立つ時期 | 4〜7月ごろ。梅雨に多い | 春〜秋。5〜8月ごろに活発 |
ムカデは夜に動き、昼間は草むらや落ち葉の下、石垣のすき間など暗く湿った所に潜みます。雑草を刈り、落ち葉や廃材を片付けて日当たりをよくするのが予防の基本です。庭作業では手袋をはめ、鉢や石の下を確かめてから持ち上げます。咬まれたら流水で冷やし、痛みや腫れがひどいときは医療機関を受診してください。
殺虫剤は虫ごとに区分が違う|芝生用を流用しない
殺虫剤は、どの虫に使うかで法律上の区分が分かれます。芝生用の農薬、蚊用の医薬品・医薬部外品、アリやムカデ用の不快害虫用殺虫剤は別物で、対象も使う場所も違います。
対象 | 薬剤の区分 | 表示で確かめること |
|---|---|---|
芝を食べる虫(芋虫・コガネムシ類の幼虫) | 農薬(農薬取締法による登録) | 適用作物に芝、適用害虫に対象の虫 |
蚊 | 医薬品・防除用医薬部外品(医薬品医療機器等法による承認) | 「医薬部外品」などの表示と、対象に蚊があるか |
アリ・ムカデ・ヤスデ・ダンゴムシ | 家庭用不快害虫用殺虫剤(どちらの法律の対象でもない) | 適用害虫、使用場所、植物への注意 |
芝生にまく殺虫剤は、芝と対象の害虫の両方に登録があるものを使うのが原則で、ラベルに記載のない虫を狙って芝生に散布することは避けます。反対に、アリ用の家庭用殺虫剤には、植物にかからないようにする注意や、植物によっては薬害が出るという注意が書かれたものもあります。
不快害虫用の製品を使うときは、次の点を守ります。
- 適用害虫と使用場所を表示で確かめ、巣や通り道など必要な場所に絞る
- 風の強い日を避け、池や水路、側溝に薬剤が入らないようにする。ペットの食器や子どものおもちゃにもかけない
薬剤の選び方の考え方は芝生用農薬の選び方で整理しています。判断に迷う場合は、散布そのものを見送り、環境の側から減らす方法を優先してください。
子どもやペットが遊ぶ庭で優先すること
遊び場として使う庭では、散布より環境を変える対策を先にします。国は公園や街路樹の管理について、病害虫の発生や被害の有無にかかわらず定期的に農薬を散布することをやめ、捕殺やせん定などの物理的な方法を優先するよう求めています。家庭の庭でも同じ順番で考えると無理がありません。
優先度 | やること | ねらい |
|---|---|---|
高 | 溜まり水を無くす、週1回の見回り | 蚊の発生源を断つ |
高 | 刈りカス・落ち葉を残さない | 湿った隠れ場所を減らす |
中 | 水はけの改善 | 庭全体が乾く時間をつくる |
中 | 長袖・虫よけ剤、庭作業の手袋 | 刺される・咬まれるのを防ぐ |
低 | 薬剤の使用 | 実害があるときに、対象と場所を絞って |
薬剤を使った日は表示の注意に従い、散布中と直後は子どもやペットを庭に出しません。庭を毎日使う夏休みは、この制限が守りにくい時期でもあります。
季節ごとの見回り|いつ・どこを見るか
虫の出る時期は地域や年で前後しますが、目安があると見回りが習慣になります。月は関東を中心にした目安です。
時期 | 主に見るもの | やること |
|---|---|---|
3〜4月 | 水がたまった容器・シート | 蚊の幼虫が増える前、5月中旬までに片付ける |
5〜7月 | 蚊・ヤスデ・ムカデ、芝の葉の食害 | 週1回の水の見回りを始める。梅雨は落ち葉や鉢の下を片付ける。地際の糞や葉先を見る |
8〜9月 | 蚊、芝の葉の食害、芝のめくれ | 水の見回りを続ける。コガネムシの成虫を多く見た年は芝のめくれを確かめる |
10〜11月 | 落ち葉、使い終えた容器 | 蚊は10月下旬ごろに終わる。落ち葉と刈りカスを片付け、容器はしまう |
12〜2月 | 雨どい・排水溝、不要な容器 | 成虫の蚊がいないうちに、詰まりや古タイヤなど翌年の発生源を片付ける |
芝を食べる虫の時期も地域で変わります。シバツトガは、群馬県の防除指針では年3回発生し、幼虫がかえるのは5月上旬〜6月上旬、7月〜8月中旬、8月下旬〜10月中旬です。月だけで決めず、葉と地際の様子で判断してください。
水や虫が集まる場所は庭ごとに違います。気づいた場所は、アプリ「しばしば芝」のお手入れ記録に写真で残しておくと、翌年の同じ時期に見返せます。年間の手入れの流れは芝生の手入れ完全ガイドで確認できます。
よくある質問
芝生に殺虫剤をまけば蚊は減りますか?
期待した効果は出にくいと考えてください。蚊の幼虫は水の中で育つため、容器や水たまりが残れば次の世代が出てきます。蚊用の殺虫剤は医薬品・医薬部外品として承認されたもので、芝生用の農薬とは区分も違います。まず週1回、水がたまる場所をなくしてください。
芝生にアリの巣ができました。芝は枯れますか?
アリが芝の葉や根を食べることは基本的にありません。ただし、押し上げられた土で芝が埋もれたり、巣のまわりの土が乾いて部分的に弱ったりすることはあります。まず土をならし、同じ場所に繰り返しできるかを見てから次の対応を決めてください。
ヤスデが大量に出ます。芝生が原因ですか?
芝そのものより、湿った隠れ場所が増えていることが要因になりやすいです。厚くなったサッチ、置いたままの刈りカスや落ち葉、乾きにくい場所が代表的です。大発生しても放っておけば自然に散るため、まず有機物を片づけ、水はけを確認してください。
不快害虫用のスプレーを芝生にかけてもよいですか?
製品の表示を確認してください。植物にかからないよう注意書きがあるものもあります。芝生にまくものは芝生への登録がある製品を選ぶ、という線引きが基本です。判断がつかなければ散布せず、発生源を減らしてください。
庭の蚊はいつからいつまで出ますか?
庭で日中に刺すヒトスジシマカの成虫は、多くの地域で5月中旬から10月下旬ごろまで活動します。卵で冬を越すため、冬に成虫はいません。春は5月中旬までに水がたまる容器を片付け、活動期間中は週1回の見回りを続けてください。
関連記事

コガネムシの幼虫から芝生を守る|食害の見分け方と駆除の時期
芝が面でめくれ、土に白いC字形の幼虫がいればコガネムシ類の食害を疑います。30cm四方で5〜10匹が手当ての目安。薬が効くのは被害が目立つ秋ではなく若い幼虫がいる夏です。似た症状との見分け方と補修時期も解説。

芝生の踏圧対策|踏み固めの見分け方と直す時期・通路の作り方
芝生の踏圧は、葉より土の締まりが問題です。通り道・物干しの前・犬の走る道などで土の硬さと水のしみ込み方から見分け、休ませる・春か秋の穴あけと目土・踏み石や品種で踏まれる前提の庭にする方法まで解説します。

子どもの遊びで傷んだ芝生の直し方|プール跡・へこみ・花火の焦げ
子どもの遊びで傷んだ芝生は、跡の形で原因を見分け、根元が生きていれば休ませて新しい葉を待ちます。根まで枯れた所とへこみは芝が伸びる時期に補修します。プール跡・遊具のへこみ・花火の焦げの直し方と夏休み明けの判断を解説。

芝生のメヒシバ対策|見分け方と駆除・春の除草剤で芽を抑える
芝生のメヒシバは、芽が出る前の春に土壌処理剤で抑え、夏は穂が出る前に抜くのが基本です。芝の芽吹きから発芽までの短い使いどき、芝の種類ごとに使える除草剤、似た雑草との見分け方、芝の密度で抑える管理を解説します。

