芝生の蚊・アリ対策|芝を食べない虫への対応
編集: しばしば芝編集部(編集方針)

芝生の生き物への対応は、芝に明らかな食害を出しているかで分けると迷いません。コガネムシ類の幼虫や芝を食べる幼虫は、芝への適用と対象害虫の両方が表示された製品を使う対象になり得ます。一方、蚊・アリ・ヤスデは、通常は芝の葉や根を食べません。薬剤の適用は製品ごとに異なるため、芝生用の薬剤を不快害虫対策へ流用せず、まず発生源や住みかを減らします。なお、ヤスデ・ダンゴムシは昆虫ではありませんが、この記事では庭で見かける小さな生き物として一緒に扱います。
この記事でわかること
- 芝を食べる虫と、そうでない虫の分け方
- 蚊・アリ・ヤスデそれぞれで最初にやること
- 芝生用の薬剤で不快害虫に対応しない方がよい理由
- 子どもやペットが遊ぶ庭で優先したいこと

まず分ける|芝を食べる虫か、そうでないか
虫を見つけたら、芝に食害の跡があるかを先に確認します。ここで分岐が決まります。
分類 | 代表的な虫 | 芝に出るサイン | 対応の方向 |
|---|---|---|---|
芝を食べる | コガネムシ類の幼虫、シバツトガ、スジキリヨトウ | 芝がめくれる、葉が食べられる、部分的に枯れる | 芝生に登録のある薬剤と早期発見 |
芝を食べない | 蚊、アリ、ヤスデ、ダンゴムシ | 芝そのものは健全。人が不快・地面が荒れる | 発生源と住みかを減らす |
芝がめくれる、部分的に色が抜けるといった症状があるなら、食害の可能性を先に調べます。詳しくはコガネムシの幼虫から芝生を守ると芝生の芋虫の正体と駆除を確認してください。芝が健全なのに虫だけが気になる場合が、この記事の対象です。
蚊|芝生ではなく水たまりを減らす
蚊対策の中心は水です。蚊の幼虫は水の中で育つため、庭に薬剤をまいても、水が残っていれば次の世代が出てきます。芝生にまく発想から、水を無くす発想に切り替えます。
数日ぶんの水が溜まる場所は、庭のあちこちにあります。
- 植木鉢の受け皿
- じょうろ、バケツ、ホースの巻き取り部分
- 子ども用のプールや遊具のくぼみ
- 雨どい、詰まった側溝
- 物置の裏に置いたままの容器
- 芝生のくぼみに残る水たまり
目安として、週に1回は容器の水を捨てると、幼虫が成虫になるまでの流れを断ちやすくなります。大きさは関係なく、わずかな水でも発生源になり得ます。自宅の水をなくしても周辺から成虫が飛んでくることはあるため、目的は庭で増える分を減らすことです。
芝生自体のくぼみに水が残るなら、それは水はけの問題です。虫だけでなく芝の生育にも影響するため、芝生の水はけを改善する方法を参考に地面の側から手を入れます。
もう一つは、成虫が休む場所を減らすことです。茂った植え込みや伸びた草の陰は、日中の休息場所になります。芝の刈り込みや周囲の草の整理は、直接の駆除ではありませんが、庭にとどまる蚊の数を減らす助けになります。
アリ|芝は食べないが、地面が荒れる
アリは芝の葉や根を食べません。困るのは巣づくりで押し上げられた土です。芝の面に小さな土の山ができると、そこだけ芝が埋もれ、芝刈りのときに刈りムラや刃当たりの原因になります。
対応は次の順で考えます。
- 土の山を崩して平らにならし、芝が埋もれた状態を解消する
- 同じ場所に繰り返しできるかを数週間見る
- 繰り返すなら巣の位置を特定し、その一点に絞って対応する
庭全体に薬剤をまく前に、繰り返し発生する場所かどうかを見極める価値があります。一度きりであれば、ならすだけで済むことも少なくありません。庭でアリに刺される、屋内まで列が続くといった実害があるときは、屋外での使用が想定された製品を選び、表示に従って使います。

ヤスデ・ダンゴムシ|湿気とサッチが住みかになる
ヤスデやダンゴムシが目立つときは、湿った隠れ場所が増えているサインと受け取ります。これらは主に落ち葉や枯れた植物などの有機物を食べるため、通常は芝の葉を直接食い荒らすわけではありません。
住みかになりやすいのは次のような場所です。
- 厚くなったサッチ(分解されずに溜まった枯れた茎や根の層)
- 芝生に積んだままの刈りカスや落ち葉
- プランターや資材の下、常に日が当たらない場所
- 水はけが悪く、乾く時間が短い場所
刈った草を庭に置きっぱなしにしないだけでも状況が変わります。刈りカスの扱いは芝生の刈りカスの処理にまとめています。なお、ムカデは咬むことがあるため、見つけても素手で扱わないでください。
芝生用の薬剤で対応しない方がよい理由
芝生にまく殺虫剤は、芝生と対象の害虫の両方に登録があるものを使うのが原則です。登録内容には、対象となる作物や植物、対象害虫、使用時期、使用量が定められています。
蚊やアリが対象害虫に含まれるかは製品ごとに確認が必要です。ラベルに記載のない虫を狙って芝生に散布することは避けます。反対に、不快害虫向けの家庭用殺虫剤には、植物にかからないよう注意書きがあるものもあります。
芝生にまくなら芝生に登録のある製品を、不快害虫に使うならその用途が想定された製品を。用途をまたいで流用しない、という線引きが安全です。
薬剤の選び方の考え方は芝生用農薬の選び方で整理しています。判断に迷う場合は、散布そのものを見送り、環境の側から減らす方法を優先してください。
子どもやペットが遊ぶ庭で優先すること
遊び場として使う庭では、散布より環境を変える対策の方が相性がよいと考えられます。散布後は立ち入りの制限が必要になることがあり、夏休みの庭では運用しにくいためです。
優先度 | やること | ねらい |
|---|---|---|
高 | 溜まり水を無くす、週1回の見回り | 蚊の発生源を断つ |
高 | 刈りカス・落ち葉を残さない | 湿った隠れ場所を減らす |
中 | 水はけの改善 | 庭全体が乾く時間をつくる |
低 | 薬剤の使用 | 実害があるときに、対象を絞って |
どこに水が溜まりやすいか、どの場所に虫が集まるかは庭ごとに違います。年間の手入れの流れは芝生の手入れ完全ガイドで確認しつつ、気づいた場所を写真で残しておくと、来年の夏に同じ手順を繰り返せます。
よくある質問
芝生に殺虫剤をまけば蚊は減りますか?
期待した効果は出にくいと考えてください。蚊の幼虫は水の中で育つため、庭に残った容器や水たまりが発生源として残っていれば、次の世代が出てきます。芝生用の殺虫剤は蚊を対象害虫としていないことが一般的なので、まず水を無くすことを優先してください。
芝生にアリの巣ができました。芝は枯れますか?
アリが芝の葉や根を食べることは基本的にありません。問題になるのは、押し上げられた土で芝が埋もれることと、芝刈りのときに刈りムラが出ることです。まず土をならし、同じ場所に繰り返しできるかを様子見してから、次の対応を決めてください。
ヤスデが大量に出ます。芝生が原因ですか?
芝そのものより、湿った隠れ場所が増えていることが要因になりやすいです。厚くなったサッチ、置いたままの刈りカスや落ち葉、乾きにくい場所が代表的です。まず庭に残っている有機物を片づけ、水はけを確認してみてください。
不快害虫用のスプレーを芝生にかけてもよいですか?
製品の表示を確認してください。植物にかからないよう注意書きがあるものもあります。芝生にまくものは芝生への登録がある製品を選ぶ、という線引きが基本です。判断がつかない場合は散布せず、発生源を減らす方法に切り替えてください。
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