芝生の芋虫の正体と駆除|シバツトガ・スジキリヨトウ
編集: しばしば芝編集部(編集方針)

夏に芝生がまだらに薄くなり、地際に黒い粒(糞)や細かい芝かすが見えるときは、葉を食べる蛾の幼虫がいることがあります。家庭の日本芝でよく疑うのはシバツトガとスジキリヨトウです。ただし、タマナヤガなど別の害虫や、乾燥・病気が重なることもあります。同じ「芝生の害虫」でも、地中の根を食べるコガネムシ類幼虫とは被害の出方も、農薬登録で確認すべき対象害虫も異なります。虫と被害の様子を確かめてから、手元の製品ラベルで「芝」と対象害虫の両方を確認しましょう。
この記事でわかること
- 芝生を食べる芋虫(シバツトガ・スジキリヨトウ)の見分け方と発生時期
- コガネムシ類幼虫との切り分け方(薬剤を選ぶ前の確認)
- 芝に登録のある殺虫剤5製品と、使用量・使用回数の違い
- 散布前に確認する、ラベル・芝の状態・天気のポイント
- 食べられた芝が元に戻るかどうかの目安
代表的な2種類を、巣と被害の形で見る

シバツトガとスジキリヨトウは、どちらも夜に芝の葉を食べる代表的な害虫です。幼虫の色や大きさだけでは見分けにくいため、地際に「つと」があるか、葉先がどのように食べられているかを一緒に見ます。虫が見つからない、食害が急に広がる、芝の根まで弱っている場合は、この2種類と決めつけずに写真を残して園芸店や地域の病害虫防除所へ相談してください。
シバツトガ:サッチ層に「つと」を作る
幼虫は、サッチ層(枯れ葉や刈りカスが地際にたまった層)に、芝かすや土を糸でつづった袋状の巣を作ります。これを「つと」と呼びます。日中はつとに潜み、夜に周りの葉を食べるため、地際をかき分けると白っぽい糸や筒状のかたまり、糞が見つかることがあります。発生の時期や回数は地域・気温で変わるので、月だけで判定せず、葉の食痕とつとを手がかりにしてください。
スジキリヨトウ:巣を作らず周りから広がる
スジキリヨトウは、シバツトガのようなつとを作りません。若い幼虫は緑がかって見え、育つと褐色になり、体側の斑紋が目立つことがあります。若齢では葉先が小さくはぎ取られたように白っぽくなり、成長すると食べる量が増えます。年3回程度発生するとされますが、時期は地域で前後します。卵は芝や周囲の草丈が高い場所、樹木などにも産みつけられるため、庭木・生け垣・伸びた草の近くから被害が広がることはあります。ただし、場所だけで虫を特定することはできません。
項目 | シバツトガ | スジキリヨトウ |
|---|---|---|
巣(つと) | 作る(サッチ層に筒状) | 作らない |
見つける手がかり | 地際のつと・糸・糞 | 葉先の食痕・糞。つとは作らない |
被害の出方 | つとの周りから葉が減ることがある | 庭木や草丈の高い場所の近くから広がることがある |
観察する時期 | 暖かい時期に葉の食痕、地際の糞・虫を定期的に確認(地域差あり) |
コガネムシ幼虫との見分け方
薬剤を選ぶ前に、まず芝の根が残っているかを確認します。芋虫は主に地上部の葉を食べるため、根がしっかりしていることが多いです。一方、コガネムシ類幼虫は地中で根を食べるため、被害部の芝がカーペットのように持ち上がることがあります。ただし、乾燥や病気でも根が弱るため、めくれ方だけで断定せず、土を少し掘って幼虫の有無も見てください。
症状 | シバツトガ・スジキリヨトウ | コガネムシ幼虫 |
|---|---|---|
芝を引っ張ると | めくれない | 簡単にめくれる |
出てくる虫 | 細長い芋虫(地際・サッチ層) | 白いC字型の幼虫(土の中) |
地際の様子 | 黒い粒(糞)・食べられた葉先 | 根が切れて土が見える |
薬剤を選ぶ前に | 地際の虫・つとを写真に残す | 土を少し掘り、白いC字型の幼虫を確認する |
白いC字型の幼虫が見つかった、または芝が容易にめくれる場合は、コガネムシの幼虫から芝生を守る|食害サインと駆除も確認してください。使うなら、製品ラベルに「芝」と「コガネムシ類幼虫」の両方の適用があるものに限ります。
被害を見つける3つのサイン
芝が大きく薄くなる前に気づければ、被害範囲を抑えやすくなります。次の3つを見つけたら、虫や食痕を確認してください。
- 地際に黒い粒がある:害虫の糞の可能性があります。近くの葉とサッチ層も確認します
- 葉先が不ぞろいに欠け、白っぽく見える:若い幼虫による食痕のことがあります
- 刈っていないのに細かい芝かすがある:食害の跡や、つとを作る材料のことがあります
気になった場所は、夕方から夜に葉の上を確認し、明るいうちにはサッチ層をそっとかき分けてください。虫、つと、糞、被害部の全体が分かる写真を残しておくと、被害が広がっているか判断しやすくなります。芝の様子は定点写真でも記録できます。
登録のある殺虫剤を、ラベルで選ぶ
農薬は、製品名が似ていても登録内容が異なります。剤型(粒・水に薄める粉や液体)だけでなく、手元のラベルに「芝」と対象害虫名があること、使用量・使用時期・使用回数を必ず確認してください。次の表は、当サイトの薬剤データベースで2026年7月28日に確認した代表例です。
製品 | 芝での適用害虫 | 剤型・使い方の目安 | 使用回数 |
|---|---|---|---|
シバツトガ・スジキリヨトウ等 | 粒剤。シバツトガ・スジキリヨトウは10g/㎡(タマナヤガは5〜10g)。散布後は0.5〜1L/㎡を散水 | 5回以内 | |
シバツトガ・スジキリヨトウ等 | 粒剤。シバツトガ・スジキリヨトウは6〜9g/㎡(コガネムシ類幼虫は9g) | 4回以内 | |
シバツトガ・スジキリヨトウ等 | 乳剤。1000倍、0.3〜2L/㎡ | 6回以内 | |
シバツトガ・スジキリヨトウ等 | 水和剤。1000倍、0.25〜2L/㎡ | 5回以内 | |
シバツトガ・スジキリヨトウ等 | 顆粒水和剤。1000倍で0.1L/㎡、または5000倍で0.5L/㎡ | 4回以内 |
粒剤か、薄めるタイプか。散布器を使わないなら粒剤が候補になりますが、散水の要否や散布方法は製品ごとに異なります。たとえばGFオルトラン粒剤は、対象害虫への使用では散布後の散水がラベルに指定されています。乳剤・水和剤・顆粒水和剤は、希釈倍率と1㎡あたりの散布液量をセットで守る必要があります。希釈量は希釈計算ツール、粒剤の必要量は粒剤散布量ツールで計算できます。
芝生の害虫でよく使われるオルトラン粒剤・水和剤は、芝でのコガネムシ類幼虫への登録がありません。一方、表のスミチオン乳剤、フルスウィング、ダイアジノン粒剤5にはコガネムシ類幼虫への芝での適用もありますが、量や散布液量は葉を食べる害虫の場合と異なります。犯人を確かめることは、登録内容を正しく選ぶために必要です。
表の対象では使用時期が「発生初期」とされています。登録内容は変わることがあるため、散布前に必ず手元の製品ラベルを確認してください。薬剤選びの全体像は芝生用農薬の選び方にまとめています。
散布前に、ラベル・芝の状態・天気を確認する
「刈ってから夕方に散布すればよい」と一律には決められません。農薬ごとに散布方法や注意事項が異なるため、次の順で確認してください。
- ラベルを読む:対象害虫、使用量、使用時期、使用回数、散水の要否、防護具、立入や周辺への注意を確認します
- 芝を弱らせない:真夏の強い乾燥、病気、極端な刈り込み直後などで芝が弱っているときは、自己判断で作業を進めずラベルの注意事項を優先します
- 風と雨を確認する:風が強い日には飛散しやすく、散布直後の雨が効果へ影響する製品もあります。ラベルの条件に合う日を選びます
観察は、幼虫が活動しやすい夕方から夜と、日中に潜伏場所を探す時間に分けると行いやすくなります。刈り方そのものは芝刈りの基本を参照してください。夏は、薬剤散布のためだけに深く刈ることは避けます。防護具と作業後の洗浄は、必ず製品ラベルの指示に従ってください。
薬剤に頼りすぎない予防
芝を極端に伸ばしっぱなしにせず、芝種に合った刈高で管理すると、害虫の観察もしやすくなります。刈り取った芝は、虫や卵が付いていないかを確認して片付けましょう。被害部の周囲にある庭木や伸びた草も一緒に観察します。
サッチが厚くたまった面は、虫を見つけにくくします。多すぎると感じる場合は、芝への負担が小さい時期にサッチを減らす作業を計画してください。真夏に無理をすると芝が弱りやすいためです。年間の作業の並びは芝生の手入れ完全ガイドで確認できます。
食べられた芝は戻るのか
根と生長点が残り、食害が止まれば、新しい葉が出て見た目が回復することがあります。地際に緑の茎が残るか、根が土をつかんでいるかを確認してください。根が少ない、芝がめくれる、被害が広がる場合は、別の害虫・乾燥・病気など複数の原因も考えます。
回復を急いで肥料や農薬を重ねる前に、まず原因の確認と、芝種・天気に合った水管理を優先します。真夏の追肥は芝の状態や使う肥料で判断が変わるため、弱った芝に一律で追加しないでください。夏の管理全体は芝生の夏枯れ対策が参考になります。散布日や気づいた症状は、アプリ「しばしば芝」のお手入れ記録に残しておくと、翌年の観察に役立ちます。
よくある質問
芝生の芋虫は放っておいたらどうなりますか?
幼虫は成長すると食べる量が増えるため、被害が広がることがあります。食痕や糞を見つけた段階で、虫と根の状態を確認しましょう。農薬を使う場合は、ラベルにある「発生初期」の時期と使用方法を守ります。
殺虫剤を撒いた後、いつから芝生に入れますか?
製品ごとに指示が異なります。散布当日は立ち入りを避けるよう書かれている製品もあるため、ラベルの記載に従ってください。散水の要否、立入再開の時期、子どもやペットへの注意も製品ごとに確認します。
手で取るだけで駆除できますか?
被害が数か所にとどまり、虫を確認できたなら、見つけた幼虫を取り除くことは観察と被害低減に役立ちます。ただし、日中は地際に隠れることがあり、取り残しもあります。被害が広がる場合は、まず害虫を再確認し、必要なら登録のある薬剤をラベルどおりに使います。
コガネムシと芋虫の両方が出ることはありますか?
あります。その場合は、それぞれの害虫に対して「芝」での適用がある製品を選びます。オルトラン粒剤・水和剤はコガネムシ類幼虫への芝での登録がないため、両方を同時に疑う場合は、手元のラベルで両方の害虫名を確認してください。スミチオン乳剤やフルスウィングなど、両方に適用のある製品もありますが、使用量・散布液量は害虫で異なることがあります。
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