芝生のメヒシバ対策|見分け方と駆除・春の除草剤で芽を抑える
編集: しばしば芝編集部(編集方針)

芝生のメヒシバは、春に芽を出して夏に広がり、秋に種を残して枯れる一年生のイネ科雑草です。対策の決め手は春にあります。芝が芽吹いてから、メヒシバが芽を出すまでの短い時期に、芝に登録のある土壌処理剤(芽が出る前の雑草を抑える除草剤)を使うと、夏に生える数を減らせます。生えてしまった株は、穂が出る前に抜くのが基本です。芝を密に保つ刈高・肥料・水やりと組み合わせ、2〜3年かけて土の中の種を減らしていきます。
この記事でわかること
- メヒシバが芽を出す時期と、地域ごとの目安
- オヒシバ・スズメノカタビラ・ヒメクグ・芝との見分け方
- 春の土壌処理剤の使いどきと、芝の種類ごとに使える製品
- 生えてしまった株の抜き方と、種をつけさせない優先順位
- 芝の密度で抑える管理と、やってはいけないこと

メヒシバとは|1年で枯れるかわりに種を残す雑草
メヒシバは、春に芽を出して夏に育ち、秋に種を残して枯れる一年生雑草です。翌年は、主に土に落ちた種からまた生えます。芝生と同じイネ科で、生育期間は5〜10月が目安です。茎の下部は地面をはうように四方へ伸び、節からひげ根を出して株を広げます。
夏に急に目立つのは、高い温度を好むためです。九州大学の研究では、メヒシバの種が芽を出す適温は30〜35℃で、芽を出せる最低の温度は13〜20℃でした。芝が暑さで弱る時期に、メヒシバはむしろ勢いを増します。芝生の雑草対策でも触れたとおり、夏に芝が薄くなった場所ほど、メヒシバの居場所が増えます。
一年生であることは、対策上の弱点でもあります。種を作らせなければ、その株はそこで終わりです。ただし種の数は多く、米国の研究機関は、メヒシバの仲間が1株で14万粒を超える種をつけることがあり、1シーズンでは根絶できないとしています。土に埋もれた種の多くは1年で寿命を迎え、2〜3年もつものはごく少なかったという国内の研究もあります。種を落とさせない管理を、2〜3年続けます。
メヒシバが芽を出す時期|地温13℃前後が合図
メヒシバが芽を出し始める合図は地温です。米国の研究機関は、地表から深さ約2.5cmの地温が13℃前後の日が4〜5日続くと、メヒシバの仲間が芽を出し始めるとしています。九州大学の研究でも、九州の中部以北では3月下旬〜4月上旬に少しずつ芽を出すとしています。
家庭で地温を測ることは少ないので、旬(月を約10日ずつに分けた期間)の平均気温が13℃を超える時期を気象庁の平年値で探し、地温の代わりに置いた当サイトの発芽の目安として並べました。左の列は、高麗芝が芽吹き始める目安(旬の平均気温が10℃を超える時期)です。
地点 | 高麗芝の芽吹き始め | メヒシバが芽を出し始める目安 | あいだの期間 |
|---|---|---|---|
鹿児島 | 2月下旬 | 3月下旬 | 約1か月 |
福岡 | 3月中旬 | 4月上旬 | 約20日 |
大阪 | 3月下旬 | 4月上旬 | 約10日 |
東京 | 3月下旬 | 4月中旬 | 約20日 |
新潟 | 4月中旬 | 4月下旬 | 約10日 |
仙台 | 4月中旬 | 5月上旬 | 約20日 |
芝の芽吹きからメヒシバの発芽までの間が、春の土壌処理剤を使う時期の候補です。どの地域でも10日〜1か月ほどしかなく、年や庭の条件でも前後します。また、メヒシバは一度に出そろいません。園芸メーカーの栽培暦は、6〜7月もメヒシバが盛んに出るとしています。
メヒシバの見分け方|オヒシバ・スズメノカタビラ・芝と比べる
細い葉の草でも、出る季節と効く薬が違うので、まず種類を確かめます。
名前 | 目立つ季節 | 茎と株元 | 葉と穂 |
|---|---|---|---|
メヒシバ | 夏〜秋 | 茎は丸い。下部が地面をはい、節から根を出す | 葉鞘(茎を包む部分)に長い毛。穂は細い枝が手のひら状に開く |
オヒシバ | 夏〜秋。20℃を超えると芽を出す | 茎は平たい。1か所から株立ちし、根が強く抜きにくい | 葉はやや硬く、葉鞘に毛がない。穂はメヒシバより大きい |
スズメノカタビラ | 秋〜春。冬も緑のまま | 株元から葉が束になって立つ | 葉先が舟のへさきの形。春に淡い緑の小さな穂 |
ヒメクグ | 春〜秋の暖かい時期 | 茎の断面が三角。地下の茎で広がる多年生 | 茎の先に、直径1cmほどの緑の丸い穂 |
高麗芝 | 冬は茶色く休眠 | 地面をはう茎で面になり、1株ずつ浮かない | 葉は細く、面としてそろっている |
迷ったときは株元と季節を見るのが確実です。冬の芝生で緑の細い株はスズメノカタビラなどで、メヒシバは冬にはいません。夏に芝の面の上へ別の株が寝るように広がっていればメヒシバ、1か所から硬い株が立っていればオヒシバです。茎を指で転がして三角に感じたら、カヤツリグサ科のヒメクグを疑います。スズメノカタビラの時期別の対策は芝生のスズメノカタビラ対策にまとめています。
見分けは薬選びにも直結します。メヒシバとオヒシバは、適用雑草が「一年生雑草」の除草剤の対象です。多年生のヒメクグはこの区分に入らないので、適用雑草の欄に「ヒメクグ」とある製品を選びます。
春の発生前処理|土壌処理剤は芝が伸び始めてから、芽が出る前に
土壌処理剤は、土の表面にまいて芽が出るのを抑える除草剤で、芽が出る前か出始めでないと効きません。家庭向けの粒剤のラベルにある使用時期「芝生育期・雑草発生前」は、芝が緑になって伸び始めてから、メヒシバが芽を出すまでの間を指します。
ただし、この時期は芝の芽吹きと重なります。園芸メーカーの栽培暦は、芽吹き中の高麗芝は根の張りが浅く、適用のある薬剤でも薬害が出るおそれがあるとして、4月の除草剤を避けるよう勧めています。暖かい地域では3月中〜下旬から土壌処理剤を使えるものの、慎重に判断するとしています。芽吹きが遅れている年や、まだらに茶色い庭では無理に合わせず、芽吹きがそろってからラベルの「雑草発生初期」の区分で使います。夏まで出続けるメヒシバには、遅めの散布でも意味があります。
芝の種類ごとに使える製品
芝生用の除草剤は、芝の種類ごとに登録が違います。農林水産省の農薬登録情報と、当サイトの薬剤・肥料データベースで確かめた、メヒシバ(一年生雑草)に使える製品の例は次のとおりです。
芝の種類 | 芽が出る前〜出始めに使う | 生えたあと、小さいうちに使う |
|---|---|---|
高麗芝 | シバキープIII粒剤(春夏期の芝生育期・雑草発生前に1㎡あたり10〜40g)、シバキーププラスα(雑草発生前〜発生初期に20〜40g。肥料入り) | シバキープエース液剤(春夏期の芝生育期)、シバゲンDF、グリーンアージラン液剤 |
野芝 | シバキープIII粒剤(芝生育期の雑草発生前〜発生初期に20〜40g)。プラスαは適用外 | シバゲンDF、グリーンアージラン液剤 |
バミューダグラス(ティフトンなど) | 表の粒剤は適用外 | シバゲンDF(雑草発生初期) |
寒地型の西洋芝 | 表の製品は適用外 | 表の製品は適用外。シバゲンDFは薬害が出る |
姫高麗芝やTM9は、製品のラベルとメーカーの案内で対象に入るかを確かめます。TM9の開発元は、張って1年目の芝に除草剤を全面にまくことを勧めていません。シバキープIII粒剤とプラスαの効果は、メーカーの案内で1㎡あたり40gまいたときに約4か月です。米国の研究機関は、土壌処理剤は暑さや雨が続くと早く分解され、遅れて出るメヒシバを許すことがあるとしています。
来年の春にやること
- 冬のうちに、去年メヒシバが多かった場所と、その面積を確かめる
- 芝の種類と、製品の適用・使用回数をラベルで確かめる。シバキープIIIとプラスαはどちらも同じ成分(DBN)を含むので、2製品を合わせて3回以内
- 芝の芽吹きが進み、緑の葉が伸び始めたのを確かめる。メヒシバの芽が見えたら「発生前」の区分は過ぎている
- 1㎡あたりの量に面積を掛けて全体の量を量り、半分ずつ縦と横に分けてまく
- まいた日・製品・量を記録し、6〜7月も見回って取りこぼしを抜く
まいた日と最初に芽を見つけた日は、アプリ「しばしば芝」のお手入れ記録に写真と一緒に残しておくと、次の春に見返せます。
真夏にできるのは手取りが中心
真夏の主役は手取りです。理由は2つあります。芝生自体が暑さで弱っていること、そして高温時の使用を制限している除草剤があることです。
抜きどきは、株が小さく、はった茎が節から根を下ろす前です。広がった株は節ごとに根を張るので、株元だけ抜いても節が残ります。作業は、根が抜けやすい雨上がりや水やりの後に行います。乾いた土で引くと茎だけが切れ、残った節からまた伸びてきます。
- 株元を指で押さえ、真上にゆっくり引く
- 茎が切れたら、残った株元や節を小さな移植ごてや除草フォークで取り除く
- 根の強いオヒシバは、除草フォークで周りの土をゆるめてから抜く
- 日差しの強い時間帯は避け、朝のうちに範囲を区切って進める
- 抜いた跡の穴は、周りの土を寄せて目土(芝の上に薄く入れる土)で埋める

抜いた草の扱いにも注意します。九州大学の研究では、花が咲いてから10〜20日で、種の中身は芽を出せる状態まで育っていました。穂のついた株を芝生の上や庭の隅に置かず、袋にまとめて処分します。
真夏に避けたい対応
目立つからといって、芝ごと短く刈り込むのは逆効果です。刈高を下げると芝が弱り、すき間が広がって翌年の発生源になります。適正な刈高の考え方は芝刈りの基本にまとめています。
除草剤を使う場合は、製品ごとの使用条件を必ず確認します。シバキープIII粒剤は30℃以上の高温が続くとき、シバキープエース液剤は30℃以上の真夏日が続く時期や乾燥時には使えません。夏の判断は夏の芝生の除草剤で詳しく整理しています。
種をつけさせない、が来年を決める
夏にすべてを抜ききれなくても、穂(種がつく部分)が熟す前に刈り取るだけでも意味があります。種が熟して落ちる量を減らせるためです。穂を見つけたら、その週のうちに抜くか刈るのを目安にします。完全な駆除を目指すより、種の生産を減らす方が現実的です。
優先順位をつけるなら、次の順で手を入れます。
- 穂が出ている株、出そうな株から抜く
- 芝が薄い場所に生えている株を抜く(そこがまた来年の発生源になる)
- 芝の密度が保てている場所の株は後回しでよい
穂のついた株を堆肥にするのは避けます。九州大学の研究では、湿った種は55℃で1日、45℃でも約10日置いて、ようやくほぼ芽を出さなくなりました。それだけの熱が要るので、袋にまとめて処分する方が確実です。
芝の密度で抑える|刈高・肥料・水やり
メヒシバ対策は、夏の駆除より年間の管理で決まります。米国の研究機関は、密に元気よく育つ芝を保つことが、メヒシバを含む雑草対策の土台だとしています。園芸メーカーの栽培暦も、2年目以降の雑草の量は前のシーズンの管理の結果だとしています。
管理 | やり方 | ねらい |
|---|---|---|
刈高 | 高麗芝は20〜30mmを目安に、下げすぎない。1回に刈るのは草丈の3分の1まで | 低く刈るほど芝が弱り、雑草が出やすくなる |
肥料 | 芝の芽吹きがそろってから始める。2〜3月にはまかない | 芽吹き前の肥料は、冬の雑草を元気づけるだけ |
水やり | 1回にたっぷり、間隔をあける。少量を毎日まかない | 根を深く張らせ、乾きに強い芝にする |
すき間 | エアレーションの穴や抜いた跡は目土で埋める | 開いた穴から雑草が出る |
年間の作業の流れは、芝生の手入れ完全ガイドの年間カレンダーで確認できます。
やってはいけないこと
- 広葉雑草用の除草剤でメヒシバを狙う:MCPP液剤の適用雑草はクローバーと一年生の広葉雑草、シバキープALは一年生の広葉雑草です。イネ科のメヒシバは対象外です
- 生育中の芝生に、非選択性の除草剤をまく:グリホサート系など、かかった植物を選ばず枯らす製品では芝も枯れます
- 張ったばかりの芝や、根切り直後に土壌処理剤をまく:シバキープIII粒剤は芝張り直後と根切り作業後を控えるよう、プラスαは植え付け後1年以内と根切り後3か月以内は使わないよう定めています
- 芝の種をまく予定の場所に土壌処理剤をまく:芽を抑える薬なので、芝の種の発芽にも響くおそれがあります。米国の研究機関は、種まきまでの間隔をラベルで確かめるよう求めており、多くは3〜4か月です
よくある質問
メヒシバの予防の除草剤は、いつまけばいいですか?
芝が芽吹いて伸び始めてから、メヒシバが芽を出す前です。気温で置いた目安では、旬の平均気温が13℃を超えるころで、東京なら4月中旬、鹿児島は3月下旬、仙台は5月上旬です。芽吹き中は薬害のおそれもあるので、遅れたらラベルの「雑草発生初期」の区分で使います。
メヒシバは抜いても抜いても生えてきます。なぜですか?
土の中の種が時期をずらして芽を出すためで、メヒシバは6〜7月にも出続けます。抜くときに節が残っていることもあります。土が湿っているときに株元を押さえて引き、抜いた跡は目土で埋めてください。翌春は、芽が出る前の土壌処理剤も検討します。
真夏に除草剤をまいても大丈夫ですか?
製品によります。30℃以上の高温時は使えない製品があるため、ラベルの使用条件を確認してください。芝の種類と対象雑草の両方に登録があることも前提です。条件が合わなければ、涼しくなるまで見送ります。
穂が出てしまいました。もう手遅れですか?
手遅れではありません。花が咲いてから10〜20日で種の中身が育つという研究があるので、見つけた週のうちに株を抜けば、翌年の発生源を減らせます。抜ききれない株も、穂だけ刈り取れば落ちる種を減らせます。
芝生とメヒシバの区別がつきません。
株元を見てください。高麗芝は地面をはう茎で面としてつながっていますが、メヒシバは1株ずつ独立して寝るように広がります。夏に、細い枝が手のひら状に開いた穂が立っていれば、メヒシバの可能性が高いです。
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