しばしば芝(SHIBA3)

春の芝生の手入れ|芽吹きの時期と作業を始める順番【地域別】

季節の手入れ

編集: しばしば芝編集部(編集方針)

春の芝生の手入れ|芽吹きの時期と作業を始める順番【地域別】

春の芝生の手入れは、高麗芝などの日本芝の芽吹きの合図を見ながら、作業を1つずつ足していくのが基本です。芽吹き前は冬雑草を抜き、庭を点検するだけにとどめます。緑になって伸びたら芝刈り、芽吹きがそろったら最初の肥料、新しい葉がそろったらサッチ取り・エアレーション・目土へ進みます。芽吹きの時期は、気象庁の平年値で見ると鹿児島と仙台で1か月半ほどずれます。カレンダーの日付ではなく、庭の芝の様子で始めましょう。

この記事でわかること

  • 春の作業を始めてよい「合図」と、一般地での時期の目安
  • 芽吹きの時期が地域でどれだけずれるか(気象庁の平年値)
  • 暖地・一般地・寒冷地の3〜5月の作業カレンダー
  • 春に芽吹かない場所を、休眠の遅れか枯れかで見極める方法
  • 春の雑草の抜きどき、品種ごとの違い、よくある失敗

春の手入れは「芽吹きの合図」で作業を足していく

春の作業は、芽吹き始め・芽吹きがそろう・新しい葉がそろう、の3つの合図に合わせて増やします。園芸メーカーのKINCHO園芸の栽培暦によると、高麗芝の春の芽吹きは、前の年に蓄えた養分で進みます。この時期の芝は身を削るように芽を伸ばし、根が一時的に衰えることさえあるとされます。芽吹きを急かす作業や芝に負担をかける作業は、合図が出るまで待ちます。

作業

始めてよい合図

一般地の目安

冬雑草の手取り・落ち葉の掃除

見つけたらすぐ

3月から

へこみだけの目土

冬にできたへこみがある。芽を埋めない薄さで

3月下旬

芝刈り

緑になって伸び、草丈が刈高の1.5倍に届いた

4月に1回ほど。5月から増える

肥料

芽吹きがそろい、その年最初の芝刈りを済ませた

4月下旬

サッチ取り

新しい葉がそろった。強くかき出さない

5月

エアレーション・全体の目土

新しい葉がそろった

4月下旬〜5月

除草剤

芽吹きの時期が過ぎ、ラベルの使用時期に合う

5月下旬ごろから

芝張り・張り替え

張ったあと、乾かさないよう水やりを続けられる

3〜6月ごろ

新しい葉がそろったら、サッチ取り、エアレーション、目土の順に続けて行います。サッチは地表にたまった枯れた茎や葉の層、エアレーションは土に穴をあけて空気と水を通す作業、目土は芝の上に薄く入れる土です。同じ栽培暦は、サッチ取りは目土の前に行い、エアレーションの穴は目土で埋めるよう勧めています。刈高と刈りどきの決め方は芝刈りの頻度と刈高の決め方、量と回数は芝生の肥料の時期と量で解説しています。

芽吹きの時期は地域でこれだけずれる【気象庁の平年値】

芝が芽吹く時期は、暖地の鹿児島と寒冷地の仙台で1か月半ほどずれます。芝生用品のバロネス(共栄社)は、日本芝は春に平均気温が10〜12℃になると生育を始めるとしています。気象庁の旬(月を約10日ずつに分けた期間)ごとの平均気温の平年値(1991〜2020年)で、主な都市を比べました。

地点(年平均気温)

芽吹き始めの目安(旬平均が初めて10℃を超える旬)

芽吹きがそろう目安(東京の4月下旬と同じくらいの旬)

霜の終日(平年)

寒冷地:仙台(12.8℃)

4月中旬(10.6℃)

5月中旬〜下旬(15.2〜17.0℃)

4月7日

一般地:東京(15.8℃)

3月下旬(10.5℃)

4月下旬(16.0℃)

2月14日

暖地:大阪(17.1℃)

3月下旬(11.1℃)

4月中旬〜下旬(15.3〜16.9℃)

3月18日

暖地:福岡(17.3℃)

3月中旬(10.9℃)

4月中旬〜下旬(15.4〜17.0℃)

3月12日

暖地:鹿児島(18.8℃)

2月下旬(11.4℃)

4月上旬(15.9℃)

2月26日

芽吹きがそろう目安は、KINCHO園芸の栽培暦がそろう時期とする「4月下旬」を東京に当てはめた値です。各地で同じくらいの気温になる旬を探しました。地域は、年平均気温13℃以下を寒冷地、16℃以上を暖地とする種苗メーカーの目安で分けています。芽吹き始めは10℃で見た早めの値で、12℃で見ると1〜2旬遅くなります(東京は4月上旬、鹿児島は3月中旬)。

仙台・大阪・福岡・鹿児島では、霜の終わりと芽吹き始めが近いことにも注意します。同じ栽培暦は、芽吹き始めた春に冬のような寒さが戻ると、芝が枯れかねないほど傷むことがあるとしています。凍った芝は踏まれると傷みやすいので、霜の朝は解けるまで芝に乗らないようにします(米ノースカロライナ州立大学)。表の観測地点は市街地にあり、気象庁によると都市が気温を高める影響は夜に大きく出ます。郊外や内陸の庭では、表より遅くまで霜が降りることがあります。

3〜5月の作業カレンダー【暖地・一般地・寒冷地】

同じ4月でも、暖地では芝刈りと肥料が始まり、寒冷地はまだ芽吹き始めです。上の表の時期をもとに、月ごとの作業をまとめました。大阪と福岡は年平均気温の区分では暖地ですが、芽吹き始めが東京と同じか1旬早いだけなので、ここでは一般地の列で読みます。

月

暖地(例:鹿児島)

一般地(例:東京・大阪・福岡)

寒冷地(例:仙台)

3月

芽吹きが進む。冬雑草を抜き、へこみに目土。芝張りや張り替えに向く

下旬に芽吹き始め。冬雑草を抜き、へこみだけ薄く目土。肥料と除草剤はまだ

休眠中。冬雑草を抜き、霜柱で浮いた所は霜が解けた日中に踏んで平らに戻す

4月

上旬に芽吹きがそろう。伸びたら芝刈り、最初の肥料。新しい葉がそろえばサッチ取り・エアレーション・目土

下旬に芽吹きがそろう。伸びたら最初の芝刈り、そのあと最初の肥料。芝張りの時期

中旬に芽吹き始め。冬雑草を抜く。上旬までは霜の朝に芝に乗らない

5月

伸び盛り。芝刈りが増える。サッチ取り・エアレーション・目土がまだなら、新しい葉がそろってから。除草剤は下旬ごろから

新しい葉がそろい、サッチ取り・エアレーション・目土。除草剤は下旬ごろから

中旬〜下旬に芽吹きがそろう。伸びたら最初の芝刈り、そのあと最初の肥料

暖地の列は、鹿児島の芝の生産者の暦(3〜4月は芝張り・補植・目土に向き、4月に肥料)とも合います。ただし同じ暦は、新芽が出そろうのを5月としています。気温から出した表の目安より遅れることもあるので、新しい葉がそろったかは庭の芝で確かめてください。寒冷地は合図が一般地より3〜4週間遅れて届くため、目土やエアレーションは6月にずれ込むこともあります。1年を通した流れは芝生の手入れ完全ガイドの年間カレンダーで確認できます。

春に芽吹かない場所は「休眠の遅れ」か「枯れ」かを見極める

周りが緑になっても茶色いままの場所は、根元と新芽を確かめてから手当てを決めます。KINCHO園芸の栽培暦は、冬の寒さや早春の天候しだいで、高麗芝は5月になっても緑がそろわないことがあるとしています。高麗芝の仲間(ゾイシアグラス)は、地表近くの茎が寒さで傷んでも、深い所から芽を出し直すことがあります(米テキサスA&M大学)。判定は、周りの芝が緑になってから行います。

確かめること

待てばよい(芽吹きの遅れ)

傷んでいる疑い

根元(クラウン)

白っぽい

茶色〜黒く、つぶれている

場所の条件

周りより少し遅れているだけ

日陰・水はけの悪い所・通り道・北向きの斜面に固まっている

掘り取って鉢で育てる

2〜3週間で半分以上が緑になる

2〜3週間たっても緑が半分に満たない

クラウンは、葉が上へ、根が下へ伸びる地際の部分です。鉢での確かめ方は米ノースカロライナ州立大学の方法で、掘り取った芝を庭の土ごと鉢に植え、日の当たる窓辺で水を切らさずに育てます。生きていれば7〜10日で緑が出始めます。2〜3週間で緑が半分に満たなければ、張り替えが必要になる見込みです。同じ大学は、秋の肥料のやりすぎや低すぎる刈り込みも冬の傷みを招くとしています。

芽吹きの時期に直径0.6〜3mほどの円形で茶色くへこむ場合は、ラージパッチ(葉腐病)という病気も疑います。雨や曇りが続くと出やすく、回復が見えるまで窒素の肥料は控えます(米ノースカロライナ州立大学)。

見極めたあとの手当て

  1. 判定がつくまでは、傷みの疑いがある場所に肥料や除草剤を急いで使いません(テキサスA&M大学)
  2. 小さく薄い場所は、周りの芝が伸びてふさぐのを待ちます。6〜7月には次第に目立たなくなります(KINCHO園芸の栽培暦)
  3. 広く枯れている場所は早めに見切りをつけ、4〜5月のうちに張り替えます。残った茎や根を取り除き、周りと高さをそろえて、すき間なく張ります
  4. 日陰・水はけ・通り道など、傷んだ原因も一緒に直します

原因の絞り込み方は芝生が枯れる7つの原因と復活方法で解説しています。芽吹きの遅い場所は、日付を入れて写真に残しておくと、翌年に早めに見回れます。アプリ「しばしば芝」のお手入れ記録に写真とメモを残せば、同じ場所の去年の様子と見比べやすくなります。

春の雑草は、芝が芽吹く前の見つけやすいうちに抜く

春の雑草は、芝がまだ茶色く、緑の雑草が目立つうちに根ごと抜くのが確実です。KINCHO園芸の栽培暦によると、高麗芝が芽吹く4月は、秋に芽を出して冬を越した雑草と、早春に出た雑草が目立ちます。5月に芝刈りが増えて芝が密になると、雑草は出にくくなります。それまでは、こまめに抜き続けます。

雑草

分類と生育期間

春の姿

増え方

スズメノカタビラ

イネ科・越年草(10〜7月)

春早くから株になり、淡い緑の穂を出す

種

ホトケノザ

広葉・越年草(12〜6月)

春に茎が立ち、紅紫色の花を咲かせる

種

オオイヌノフグリ

広葉・越年草(10〜7月)

茎が四方に広がり、青紫色の花を咲かせる

種

セイヨウタンポポ

広葉・多年草(11〜6月)

冬は葉を地面に広げ、春に花の茎を伸ばす

種と根

分類と生育期間は、石原バイオサイエンスの雑草図鑑によります。表の越年草(秋に芽を出して冬を越す草)は種で増えるので、穂や花が種になる前に抜けば翌年の数を減らせます。セイヨウタンポポは根でも増えるため、根を残さずに抜きます。

除草剤は、芽吹いたばかりの芝に薬害が出るおそれがあります。同じ栽培暦は、適用のある薬剤でも4月は避け、5月下旬ごろから使うよう勧めています。暖かい地域では3月中〜下旬に土壌処理剤(芽が出る前の雑草を抑える薬剤)を使える場合もありますが、慎重に判断するとしています。TM9の開発元は、張って1年目の芝への全面散布を勧めていません。対象の芝と使用時期は、ラベルと薬剤データベースの除草剤で確かめてください。雑草ごとの手段の選び方は芝生の雑草対策にまとめています。

品種で変わる春の手入れ

春の進め方の基本は同じですが、品種によって念入りにする作業と、時期がずれる作業があります。

品種

春の特徴

春に気をつけること

高麗芝

4月に芽吹き、5月に一面の緑になる。4月下旬ごろから穂が出る

穂が目立って見ばえが気になるなら、芝刈りの回数を増やす

姫高麗芝

葉が細く密。サッチがとてもたまりやすい

新しい葉がそろったら、高麗芝より念入りにサッチ取りと目土

TM9

開発元の暦では、3月下旬から必要に応じて目土・エアレーション・サッチング(手間を減らす管理なら不要)、4月の芽吹きに合わせて肥料

穂が出そろう5月下旬〜6月上旬に必ず刈る。肥料は一般的な高麗芝の半分

野芝

高麗芝より寒さに強く、北海道南西部でも育つ。葉の伸びは緩やか

芝刈りの回数は高麗芝より少なく済みやすい

西洋芝(寒地型)

5℃前後から伸び始め、適温は15〜20℃。春は生育の盛り

日本芝より早く芝刈りが始まる。日本芝用の除草剤は使えない製品が多い

西洋芝は、鹿児島の芝の生産者の暦では3月下旬から刈り始め、4月は月3回ほど刈ります。種から育てるなら、サカタのタネは春まきを温暖地で3〜5月、寒冷地で4〜6月としています。秋に高麗芝の上へ西洋芝の種をまき、冬も緑を保つオーバーシードをした庭は、春に高麗芝へ戻る切り替えの時期です。品種が合わないと切り替えが進まず、下の芝が傷むことがあります(雪印種苗)。高麗芝の芽吹きを優先しましょう。

春によくある失敗と直し方

春の失敗の多くは、芽吹きを早めたい気持ちから作業を前倒しすることで起きます。

よくある失敗

起きること

防ぎ方・直し方

芽吹き前(2〜3月)に肥料をまく

芽吹きは早まらず、冬雑草を元気にするだけ

芽吹きがそろい、最初の芝刈りを済ませてからまく。まいてしまったら追加せず、雑草を抜く

最初の芝刈りで短く刈りそろえる

1回に草丈の3分の1を超えて刈ると、根の伸びが止まることがある

刈高をいったん上げ、数回に分けて下げる

芽吹き中に厚く目土を入れる

新しい葉が隠れ、芽吹きに影響する

3月はへこみの補正だけ。全体の目土は新しい葉がそろってから、古い葉が隠れる程度に

春先に強くサッチをかき出す

伸びの遅い高麗芝は回復も遅い

新しい葉がそろってから、芝を傷めない程度に軽く

芽吹き前から毎日水をやる

土が湿ったままだと、冷え込んだときに傷みやすい

3〜4月は雨で足りることが多い。晴れが続いて乾いたときだけ、湿りすぎない程度に

表の根拠は、3分の1の決まりが米クレムソン大学、水と冷え込みの関係が米ノースカロライナ州立大学、ほかはKINCHO園芸の栽培暦です。同じ栽培暦は、5月の大型連休ごろからは芝が一気に乾き、水やりが必要になることもあるとしています。

冬のあいだの準備は2月の芝生の手入れで確かめられます。

よくある質問

春の芝生の手入れはいつから始めればいいですか?

冬雑草の手取りと庭の点検は3月から始められます。芝刈りや肥料は、芝が芽吹いてからです。気象庁の平年値で見ると、芽吹き始めは東京で3月下旬が目安です。鹿児島は1か月ほど早く、仙台は3週間ほど遅くなります。大阪は東京と同じころ、福岡は10日ほど早い目安です。

春の最初の芝刈りはいつですか?

芝が緑になって伸び、草丈が刈高の1.5倍に届いたときです。一般地では、伸び具合を見て4月中に1回ほど刈り、5月から回数が増えます。一度に刈るのは草丈の3分の1までにし、短く刈りそろえないでください。

春の肥料はいつまけばいいですか?

芽吹きがそろい、その年最初の芝刈りを済ませてからです。一般地は4月下旬、暖地は4月、寒冷地は5月に入って緑がそろってからが目安です。芽吹き前の2〜3月にまいても、芽吹きは早まりません。

春になっても芝生が緑にならないのは枯れたからですか?

周りより遅れているだけのこともあり、すぐには決められません。根元が白っぽければ待ちます。根元が茶色や黒でつぶれている場合は、傷みを疑います。掘り取って鉢で育て、2〜3週間で緑が半分に満たなければ張り替えを考えます。

春に芝生を張るならいつがいいですか?

春の3〜6月ごろが目安です。芝の生育が十分でない3月に張ると、根付くまでに日数がかかります。TM9の開発元は、3月下旬に張った芝は葉が生えそろう1か月後まで立ち入らないよう勧めています。初夏は乾きやすく、水やりの回数が増えます。手順と下地づくりは芝張り完全ガイドで確認できます。

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