日本の芝は3分の2が茨城産|統計で見る出荷額と家庭で買う値段
編集: しばしば芝編集部(編集方針)

農林水産省が2026年8月18日に公表した「令和6年産花木等生産状況調査」によると、2024年に全国の産地から出荷された芝は3,215ha、出荷額は74億5,500万円でした。生産量(統計では出荷量)のおよそ3分の2にあたる2,140haが茨城県からの出荷です。出荷額を出荷量(出荷した面積)で割った1㎡あたりの産地出荷額は、日本芝で約212円でした。家庭が店頭や通販で払う値段とは何倍も違います。統計の読み方と、芝を買うときに使える見方を整理します。
この記事でわかること
- 2024年産の芝の作付面積・出荷量・出荷額と、都道府県別の割合
- 2021年産・2018年産と比べた変化
- 茨城と鳥取に産地が集まる背景と、切り芝が出荷されるまで
- 1㎡あたりの産地出荷額と、店頭・通販の値段との差の理由
- 産地を知ると選びやすくなること(品種・届くまで・買う時期)
何が起きたか|2024年の芝の出荷額は74億5,500万円
2024年産は3年に1度の全国調査の年で、芝の出荷量は3,215ha、出荷額は74億5,500万円でした。
この調査は、花木・芝・地被植物の生産を毎年調べるものです。全国の都道府県を調べるのは3年ごとで、その間の年は主な産地の県だけを調べます。芝の出荷量は重さや枚数ではなく、出荷した芝の面積で数えます。作付面積は、1年間に畑で育てた面積の延べ数です。
区分 | 作付面積 | 出荷量 | 出荷額 |
|---|---|---|---|
芝の計 | 4,742ha | 3,215ha | 74億5,500万円 |
日本芝 | 4,477ha | 3,011ha | 63億6,900万円 |
西洋芝 | 265ha | 204ha | 10億8,600万円 |
日本芝はノシバ(野芝)やコウライシバ(高麗芝)など、西洋芝はベントグラスやブルーグラスなどを指します。出荷額は消費税を含む金額です。出荷量の94%が日本芝でした。
都道府県別|茨城が生産量の3分の2、出荷額では半分
茨城県は作付面積・出荷量・出荷額のどれも、公表された都道府県の値の中で最も多い産地です。ただし出荷額の割合は50%にとどまります。
道県 | 作付面積 | 出荷量(全国に占める割合) | 出荷額(全国に占める割合) |
|---|---|---|---|
茨城 | 2,970ha | 2,140ha(67%) | 37億2,400万円(50%) |
鳥取 | 720ha | 425ha(13%) | 15億5,300万円(21%) |
鹿児島 | 314ha | 204ha(6%) | 3億5,180万円(5%) |
北海道 | 163ha | 163ha(5%) | 7億7,350万円(10%) |
宮崎 | 245ha | 121ha(4%) | 4億2,800万円(6%) |
熊本 | 193ha | 119ha(4%) | 3億8,340万円(5%) |
割合は全国の値に対して執筆者が計算しました。この6道県で出荷量の98.7%になります。秋田・福島・埼玉・福井・岐阜・兵庫・愛媛は、個人や団体の秘密を守るため数値が公表されていません。順位は公表された値の中での比較です。
茨城の出荷は統計上すべて日本芝で、西洋芝は「事実のないもの」とされています。反対に北海道の出荷はすべて西洋芝で、全国の西洋芝の出荷量の約8割を占めます。茨城は量で3分の2を占めながら額では半分なので、1㎡あたりの出荷額は全国の平均より低いことになります(後の節で計算します)。
推移|出荷量は減り、1㎡あたりの出荷額は上がった
全国調査どうしで比べると、2021年産から2024年産で出荷量は8.8%減り、出荷額は4.3%増えました。
項目 | 2018年産(参考) | 2021年産 | 2024年産 |
|---|---|---|---|
全国の作付面積 | 5,241ha | 4,886ha | 4,742ha |
全国の出荷量 | 3,818ha | 3,526ha | 3,215ha |
全国の出荷額 | 75億4,947万円 | 71億4,839万円 | 74億5,500万円 |
茨城の出荷量(割合) | 2,200ha(58%) | 2,400ha(68%) | 2,140ha(67%) |
出荷量が減って出荷額が増えたので、1㎡あたりの出荷額は約14%上がりました。主な産地として毎年調べる茨城の値で見ると、1㎡あたり135円(2021年)、162円(2022年)、約165円(2023年)、174円(2024年)と上がり続けています。値上がりの理由は、統計からは分かりません。
注意が2つあります。2018年の値は農林水産省の別の部署がまとめたもので、今の調査とは手法と精度が違います。今の調査も、回答する団体の把握状況で年ごとに差が出ることがあるとされます。細かな増減より、傾向として読んでください。
背景|なぜ茨城と鳥取に産地が集まったのか
鳥取は、黒ボク土が芝に合うと県が説明しています。茨城は、産地が集まった理由を説明した県の資料を今回は確認できませんでした。確かめられた事実だけを並べます。
茨城|県南などが産地で、2021年は全国の芝農家の約85%
農林水産省の県の概要(令和8年版)によると、茨城県は東京から北東に40〜160kmの位置にあります。県北の一部を除いて平坦で耕地が広く、気候は温暖です。芝は県南地域の農畜産物に挙がっています。
つくば市の水田活用の計画(令和8年度)は、芝を市の特産品の一つとし、西部の豊里・大穂地区で生産が盛んだとしています。少ない労働力で、野菜づくりに向かない土地でも米に代わる作物になるとして、面積を増やす方針です。筑西市の同じ計画にも芝が挙がっています。
2021年産の調査では、芝を育てる農家は全国で3,593戸、うち3,050戸(約85%)が茨城でした。また鳥取県の記録によると、鳥取で芝づくりが始まった翌年の1959年に、茨城県から技術者4人を招いて栽培・収穫・出荷の講習会を開いています。当時すでに、茨城に芝づくりの技術者がいたことが分かります。
鳥取|大山のすそ野の黒ボク土で、1958年に始まった
鳥取県は、大山のすそ野に広がる黒ボク土(火山灰に由来する黒い土)が芝の栽培に適していると説明しています。芝づくりは1958年に旧東伯町(今の琴浦町)で試作から始まりました。県の中西部の黒ボクの畑で、それまでのでんぷん用のサツマイモや桑に代わってお金になる作物を探したのがきっかけです。1992年のピーク時には栽培面積が1,510haありました(2011年の鳥取県芝振興ビジョン)。2020年の県の資料では、高麗芝は北栄町・琴浦町・大山町を中心に生産されています。
仕組み|切り芝は畑で育て、注文を受けてから切り出す
芝は市場での取引が少なく、造園・土木の業者やゴルフ場などの注文に応じて、畑からはがして出荷するのが基本です。
鳥取県芝振興ビジョン(2011年)によると、芝は市場での取引や店頭販売があまり行われていません。畑では芝刈りを繰り返し、在来のノシバでは生産者の芝刈りが年14〜17回必要でした。鳥取の生産組合は、別の品種が混ざらない元の芝(種芝)の畑をつくり、そこから増やしてきました。品種を植え替えると1〜2年は出荷できないとも書かれています。
出荷までの年数は品種で違います。コウライシバは製品になりやすく、ほぼ毎年出荷できます。在来のノシバは出荷できる状態になるまで時間がかかり、はがすときに崩れやすいとされます。
道県 | 造園用 | 土木用 | ゴルフ場用(運動場を含む) | その他 |
|---|---|---|---|---|
茨城 | 27% | 35% | 22% | 16% |
鳥取 | 33% | 23% | 37% | 7% |
鹿児島 | 33% | 47% | 20% | - |
宮崎 | 40% | 50% | 10% | - |
熊本 | 46% | 37% | 17% | - |
北海道 | 10% | 90% | - | - |
表は2024年産の出荷量に占める用途の割合です(全国の値は、不明の県があるため公表されていません)。家庭の庭に張る芝がどの用途に入るかは、調査票の説明からは分かりません。
数字で見る|1㎡あたりの産地出荷額は日本芝で約212円
出荷額を出荷量で割ると、産地から出るときの芝の値段の平均が分かります。日本芝は約212円、茨城は約174円、鳥取は約365円でした。
計算は執筆者が行いました。統計の出荷量はa(アール、1a=100㎡)単位なので、1㎡あたり=出荷額(千円)×1,000÷(出荷量(a)×100)で円に直しています。たとえば日本芝は、63億6,900万円÷3,011ha(301,100a)で約212円です。
区分 | 1㎡あたりの産地出荷額 |
|---|---|
芝の計(全国) | 約232円 |
日本芝(全国) | 約212円 |
西洋芝(全国) | 約532円 |
茨城 | 約174円 |
鳥取 | 約365円(日本芝だけなら約341円) |
北海道 | 約475円 |
宮崎・熊本・鹿児島 | 約354円・約322円・約172円 |
これは用途も品種も混ぜた平均で、業者向けの大口の出荷も含みます。小売価格ではありません。鳥取の芝が高いことは2011年の県の資料にも書かれていて、2008年の鳥取の販売単価は1㎡290円で、茨城を大きく上回るとしています。
家庭の庭に持ち帰れること
店頭や通販の値段は産地出荷額の約3〜8倍で、通販では送料と販売の単位で大きく開きます。産地を知ると、品種の確かめ方と、注文から張るまでの段取りが立てやすくなります。
店頭・通販の値段との差|通販では送料と販売単位が大きい
値段の種類 | 1㎡あたり | 日本芝の産地出荷額との比 |
|---|---|---|
統計の産地出荷額(日本芝の平均) | 約212円 | 1倍 |
鳥取の生産者の通販・高麗芝の芝代(送料別) | 605円 | 約2.9倍 |
ホームセンター店頭の高麗芝の例 | 767円 | 約3.6倍 |
産地直送の高麗芝・送料込み(10㎡) | 1,730円 | 約8.2倍 |
店頭と通販の値段は、公開中の比較記事で2026年10月6日に確かめた値です。送料込みの通販では、差のうちいちばん大きいのは送料です。鳥取の生産者から10㎡を関東へ送ると送料は11,440円で、芝代の約1.9倍、総額の約65%を占めました。次が販売の単位です。家庭向けの芝は1㎡分(9〜10枚・約10kg)ずつ束ねて売られます。同じ店でも1㎡だけ買うと、10㎡単位の約1.5倍になる例がありました。鳥取県の2011年の資料も、一般の人が芝を買いにくいことを課題に挙げ、小口で売るための梱包の工夫が要るとしています。店の取り分の割合を示す公的な資料は見つかりませんでした。比べ方は芝生の値段を10㎡で比較にまとめています。
産地を知ると選びやすくなること
品種:統計では、高麗芝・野芝・TM9などの内訳は分かりません。鳥取は2008年の時点で、作付の42%がノシバ、40%がコウライシバでした(県の資料。最新の内訳ではありません)。鳥取県は高麗芝の畑にバミューダグラスが混ざらないよう、近くの公共工事の資材にまで配慮を求めています。買うときは、販売元の品種名と産地の表示を確かめましょう。品種ごとの買い方は高麗芝を買うなら・野芝の購入ガイド・TM9の価格と販売店で比べられます。
届くまで:切り芝は注文を受けてから畑で切り出すため、雨の日は出荷を見合わせる販売元もあります。届いたら当日、遅くとも翌日に張るのが基本です。張る日を先に決め、発送日を確かめてから注文してください。送る距離で送料も変わり、同じ生産者から関西へ送ると10,670円でした。
西洋芝:統計上の西洋芝の出荷量は日本芝の約15分の1で、約8割が北海道から、北海道の出荷の9割が土木用です。品種そのものの違いは芝生の種類と選び方で確かめてください。
買う時期|春に張る日から逆算する
統計は1年分の合計で、何月に多く出荷されるかは分かりません。張る時期で考えると、高麗芝の芝張りは春の3〜6月頃か9月頃が目安で、10月以降は根が伸びにくいため春に回します(芝張り完全ガイド)。産地直送の例では10月〜4月下旬が普通便、4月下旬〜9月がクール便で、クール便は普通便の約1.3〜1.4倍でした。3〜4月に張れば、適期と普通便が重なります。産地の通販には、売り切れると次の受付まで待つ店もあり、10月6日時点で2027年2月下旬に再開と表示していた例がありました。
10月のいまは、張る場所の雑草を取り、土を平らにしておく時期です。注文した日、届いた日、張った日をアプリ「しばしば芝」のお手入れ記録に残しておくと、次に買い足すときに届くまでの日数を見返せます。
よくある質問
芝の生産量がいちばん多い都道府県はどこですか?
茨城県です。2024年産の出荷量は2,140haで全国の約67%、出荷額は37億2,400万円で約50%でした。作付面積を含め、公表された都道府県の値の中で最も多く、2位は鳥取県です。
芝の産地での値段は1㎡いくらですか?
2024年産の出荷額を出荷量で割ると、日本芝の平均は1㎡約212円でした。茨城は約174円、鳥取は約365円です。用途や品種を混ぜた平均で、家庭が店で買う値段ではありません。
高麗芝と野芝はどちらが多く作られていますか?
農林水産省の統計は日本芝と西洋芝の2区分なので、品種の内訳は分かりません。鳥取県の資料では、2008年の県内の作付はノシバが42%、コウライシバが40%でした。全国の内訳を示す公的な資料は見つかりませんでした。
店で買う芝が産地の出荷額より高いのはなぜですか?
通販では、送料と販売の単位の影響が大きくなります。10㎡を関東へ送る例では、送料が総額の約65%を占めました。家庭向けは1㎡ずつ束ねた小口の販売で、買う量が少ないほど1㎡あたりは高くなります。店頭の値段の内訳を示す公的な資料は見つかりませんでした。
芝はいつ買うのがよいですか?
高麗芝なら、春の3〜6月頃か9月頃に張れるよう、張る日から逆算して買います。3〜4月は張る適期で、産地直送ではクール便より割安な普通便の時期でもあります。10月以降は春に回し、冬のうちに販売元の受付時期を確かめてください。
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