TM9に大きな芝が混ざる原因は?異品種(先祖返り)の予防と芝刈りの目安
編集: しばしば芝編集部(編集方針)

TM9の芝生の一部だけが周囲より高く伸びたり、葉の見た目が違ったりすることがあります。こうした芝は、TM9や高麗芝とは性質の異なる芝が混じった「異品種」の可能性があります。放置すると見た目のムラだけでなく、生育の速い芝が広がって、庭全体の印象が変わることもあります。
この記事では、トヨタのTM9公式コラムをもとに、異品種が混じる主な理由と、種からの発生リスクを下げるための芝刈りの考え方を整理します。
まずは「周囲と違う芝」があるかを観察しよう
コウライシバの芝生に、周囲より草丈が高く、大きく見える芝が混じることがあります。トヨタのコラムでは、ノシバタイプの芝が発生すると、コウライシバより生育が早く、広い面積で置き替わったように見える場合があると説明されています。
見つけたときは、庭全体を一度に判断しようとせず、まず次の点を同じ場所で見比べてみましょう。
- 周囲より明らかに背が高いか
- 葉の幅や密度が、周囲のTM9と異なって見えるか
- 同じ箇所から伸び続けているか
- 春に穂が出ているか
この観察だけで芝の種類を断定することはできません。ただし、いつ・どこで・どのように目立ったかを記録しておくと、芝刈りのタイミングを考えやすくなります。
異品種が混じる4つの主な経路
トヨタのコラムでは、コウライシバにノシバタイプの芝が混じる理由として、次のような経路を挙げています。
- 周辺のノシバが匍匐茎で入り込む
匍匐茎(ほふくけい)とは、地面を這うように伸びる茎です。周囲に生えている芝が、地面を伝って芝生の中へ入ることがあります。 - 土に残っていた匍匐茎から再生する
芝張り前の土や周辺の土に茎が残っていると、そこから再生する場合があります。 - 土の中にあった種子が発芽する
以前から土に残っていた種子が、条件がそろったときに発芽することがあります。 - 靴や管理器具に付いた種子を持ち込む
別の場所で付いた種子が、靴や器具を介して庭へ入ることがあります。
さらに、コウライシバが自家受粉してできた種子から、親となった芝に近い性質の個体が現れることがあります。これが、一般に「先祖返り」と呼ばれる現象です。コラムでは、コウライシバの種子からは小型の個体からノシバタイプの大型個体まで、性質の異なる個体が発生しうると説明されています。
春に穂が出たら、芝刈りの予定を立てる
トヨタのコラムによると、春に再生する直立茎には高い確率で穂が発生します。前年の秋に花芽のもとがつくられ、春に出穂するためです。TM9は一般のコウライシバより茎葉の密度が高く、穂が多くなることがあります。
種が熟して落ちる前に芝刈りを行うことは、発芽能力のある種子が地面へ落ちる数を減らす方法の一つです。出穂から稔実まではおよそ1か月とされますが、穂は一斉には出ず、1〜2週間ほどかけて発生します。
そのため、穂が出始めた直後ではなく、穂が出そろった段階で、種が熟す前を芝刈りの目安にすると、1回の芝刈りでも対応しやすくなります。日付だけで決めず、実際の穂の出方を見て予定を組むのがポイントです。

種が落ちても発芽しにくい環境をつくる
芝の種子は硬い種皮に覆われており、特別な処理をしない場合は発芽率がとても低いとされています。トヨタのコラムにある試験事例では、1%以下です。ただし、芝刈りを行わずに多くの種子が熟して落下すると、発芽した種子から異品種が発生するリスクは高くなります。
リスクを下げるには、種を落とさないことに加えて、地表に光が届きにくい状態を保つことが大切です。コラムでは、芝生の密度を維持し、3cm以上の高めの設定で芝刈りをすると、地表面が暗くなり、光を必要とする種子の発芽率を下げられるとしています。雑草の種子の発芽を抑えることにもつながります。
また、雑草種子の発芽を抑える土壌処理タイプの芝生用除草剤は、芝の種子の発芽抑制にも役立つとされています。使う場合は、トヨタのコラムで案内されている除草剤の解説もあわせて確認し、庭の芝の状態に合うかを慎重に判断しましょう。
TM9の異品種対策チェックリスト
- 春に、周囲より背の高い芝や穂がないか観察する
- 穂が出そろったら、種が熟す前に芝刈りを行う
- 低く刈り込みすぎず、3cm以上を目安に芝の密度を保つ
- 靴や管理器具に、ほかの場所の芝や種子が付いていないか確認する
- 土壌処理タイプの除草剤を検討する場合は、トヨタの解説を確認する
まとめ
TM9の芝生に大きく見える芝が混じる背景には、周辺からの侵入、土に残った茎や種子、持ち込み、そしてコウライシバの種子由来の先祖返りがあります。すべてを完全に防ぐことは難しくても、出穂後・稔実前の芝刈りと、密度を保つ高めの芝刈りによって、種からの発生リスクを下げることができます。
まずは春の芝生を観察し、穂の出方を見ながら芝刈りの予定を立ててみてください。
参考(本記事の唯一の出典)
トヨタ「異品種発生(先祖返り)の原因と対策」(2026年9月2日参照)
関連記事

秋の芝生のハゲ補修|冬前に直す方法
秋にできた芝生のハゲは、原因を取り除いてから小面積だけ補修するのが基本です。高麗芝の根が残る場合、目土と休息で回復を待つ場合、部分的な芝張りを選ぶ場合の判断と冬前の注意点を解説します。

花火・BBQで焦げた芝生の補修方法
花火やBBQで焦げた芝生は、葉だけの軽い傷みか根まで枯れた傷みかで対処が変わります。灰や炭を安全に片付けた後の確認、秋の回復を待つ方法、小さな穴を部分補修する判断を解説します。

遊具・シート跡でへこんだ芝生の直し方
遊具やレジャーシートの跡で芝生がへこむのは、重み、踏圧、日陰、湿気で土と根が弱るためです。高麗芝を片付けた直後に確認すること、浅いへこみを目土でならす方法、同じ場所を傷ませない工夫を解説します。

芝生の踏圧対策|通り道・遊び場の回復法
芝生の踏圧で通り道や遊び場だけ薄くなるのは、葉だけでなく土が硬くなり根が弱るためです。高麗芝の踏み固めを見分け、休ませる・動線を変える・エアレーションと目土で整える回復法を解説します。

